談志ング・オールナイト
立川談志が死んだという。たまたま昨夜、談志の「雑俳」という落語を聴こうと思ったら、MP3ファイルが壊れてて聴くことができなかった。何かの符合でもなんでもないが、やはりまた時代が動いたなと改めて感じる。オイラは、一度だけ寄席の名前は思い出せないが、生で高座を聴いたことがある。人気絶頂の頃で、演目は「二階ぞめき」だったが、後にも先にもあんなすごい「二階ぞめき」は聴いたことがない。廓狂いの道楽息子のために、二階に廓のセットを作ってやる。それを覗いてる内に、そのバカ息子は、現実と空想の区別がつかなくなり、ついには一人二役で喧嘩を始める、という筋の有名な噺だが、談志の語りは瞬きもさせないくらいの迫力で、聴いてる客のオイラにもまざまざと、生き生きとその情景を目の当たりにすることができた。話芸というのはすさまじいものだと実感した一夜だった。ただ、それ以降の政治に飛び込んだりした談志は好きではなかったので、その後、落語の方はあまり聴いていない。それでも、戦後のそして昭和の落語界の最後の大物が死んでしまったことは間違いないな。今日は哀悼の意をこめて、その「二階ぞめき」を、生の高座ではないが、PCで聴いてみよう。