YS-11の見分け方 ~自衛隊のYS達~

このコンテツは月刊エアライン9月号を参考にしています。

~隊員輸送から電波妨害までさまざまな任務をこなす~
自衛隊のYS-11たち
本来旅客機であるYS-11だが、航空自衛隊と海上自衛隊でも運用している。
しかし、その内訳は思いのほか複雑で、YSウオッチャーにとっても興味深いところだ。
ここでは自衛隊で活躍するYS-11の形式と任務について簡単に紹介しよう。

航空自衛隊
JASDF
YS-11を各型あわせて13機導入しており、全機とも現役を続けている。
航空自衛隊に所属するYS-11の特徴は運用用途の多様化に従い、近年改修を受けた機体が多くなっていることだ。現在在籍するYS-11は5機種あるが、このうちEA/EBの両機種はエンジンをRRダードからアリソンT64に換装しており、エンジン音が他のYSとはまったく異なる変わり種である。
(DATAは在籍数の内の1機である)

VIP輸送にも活躍する自衛隊の旅客機 YS-11P(人員輸送型)
在籍数:3機
DATA
機体番号:62-1153 所属:第403飛行隊(美保基地) 製造番号:2018 民間形式:YS-11-105

 もともと航空自衛隊ではYS-11をC-46輸送機の後継機種となるC-1のつなぎ目として1965(昭和40)年~1973(昭和48)年に13機を購入している。そのうち、人員輸送に使用されるYS-11P型は3機ありすべて美保基地(鳥取県)に配備されている。P型はYS-11-100型の派生型でVIP(要人)も輸送できるようにソファーなども備え付けられており、防衛庁首脳のみならず各国の首脳も搭乗する。

ド派手な塗装は民間機顔負け!? YS-11FC(飛行点検型)
在籍数:3機
DATA
機体番号:52-1151 所属:飛行点検隊(入間基地) 製造番号:2008 民間形式:YS-11-103

 YS-11のFC(フライトチャッカー)はリットン製自動式点検装置を搭載し、計器着陸システム(ILS)や戦術航空航法装置(TACAN)、精測進入レーダーシステム(PAR)など航空保安無線施設の点検を行う。FC型は3機とも入間基地の飛行点検隊に配属されており、航空自衛隊のみならず、陸上自衛隊や海上自衛隊などのフライトチェックも行う。ホワイトと銀色のボディに、機首から伸びる赤いラインと垂直尾翼の赤白のチェックが目印である。

訓練では嫌われ者?妨害電波で相手を錯乱 YS-11EA(電子戦支援型)
在籍数:2機
DATA
機体番号:12-1162 所属:電子戦支援型(入間基地) 製造番号:2161 民間形式:YS-11A-402

 電子戦支援用に改修されたのがYS-11EA。電子戦機をあらわすEがつくYS(EA型とEB型)はエンジンがアリソンT64に、プロペラのブレードも3枚に改修されており、他のYSとは飛行中の音が異なっている‘変わりダネ‘。EA型はレーダーサイトなどへのECM(妨害電波などにより相手の電子機器を混乱させる)訓練を担当し、2機が入間基地の電子戦支援隊に配備されている。EA型はホワイト(上面)と銀色(下面)の機体に、2本の青いラインが目印である。

武骨な外観を持つ電子戦007 YS-11EB(電子戦支援型)
在籍数:4機
DATA
機体番号:82-1155 所属:電子飛行測定隊 製造番号:2074 民間形式:YS-11A-305

 電子測定・情報収集機に改修されたのがYS-11EB。EB型は電子情報システムを搭載し、電子情報収集(航空機搭載電子機器や地上電子機器に関する各種情報の収集)を担当する。
航空自衛隊に現在在籍するEB型4機が入間基地の電子飛行測定隊に配備されている。EB型は部隊マークがなく、グレーの塗装(機体上部が濃く、下部は薄い)を施されているのが目印である。


海上自衛隊
JMSDF
YS-11を10機導入、全機ともほぼ導入当時の姿のままで現役を続けている。
用途は機上作業訓練及び人員/貨物輸送の2種で、非常にすっきりとしたフリーと構成だ。
(DATAは在籍数の内の1機である)

不気味な大型レドームが目印 YS-11T-A(機上作業訓練型)
在籍数:6機
DATA
機体番号:6904 所属:第206航空隊(下総基地) 製造番号:2148 民間形式:YS-11A-206

 YS-11T-Aは隊潜水艦戦要員養成に使われている機上作業訓練機で、1969(昭和44)年から1973(昭和48)年の間に6機が導入され、全機が千葉県・下総航空基地の第206教育飛行隊に配属されている。
機首と垂直尾翼先端に蛍光オレンジ色が目印となっている。

人も貨物も輸送ならおまかせ YS-11M(人員/貨物輸送機)
在籍数:4機
DATA
機体番号:9044 所属:第61航空隊(厚木基地) 機体番号:2182 民間形式:YS-11A-320

 YS-11Mは輸送用として1966(昭和41)年から1973(昭和48)年にかけて4機が導入され、現在でも神奈川県・厚木航空基地の第61航空隊に配属、運用されている。9041号機、9042号機がYS-11-100型でYS-11M、9043号機と9044号機がYS-11A-300型でYS-11MAと呼ばれている。4機とも胴体左側に貨物用大型サイドドアが設けられ、塗装は白とグレーで垂直尾翼には部隊マークでもあるラクダが描かれている。


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