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Sonnet 18



              ―Sonnet 18―

              Shall I compare thee to a summer’s day?
              Thou art more lovely and more temperate:
              Rough winds do shake the darling buds of May,
              And summer’s lease hath all too short a date:
              Sometime too hot the eye of heaven shines,
              And often is his gold complexion dimm’d;
              And every fair from fair sometime declines,
              By chance, or nature’s changing course untrimm’d;
              But thy eternal summer shall not fade,
              Nor lose possession of that fair thou ow’st,
              Nor shall death brag thou wander’st in his shade,
              When in eternal lines to time thou grow’st;
              So long as man can breathe, or eyes can see,
              So long lives this, and this gives life to thee.


              ―ソネット 第18番―

              君を夏の日にたとえても
              君はもっと美しいもっとおだやかだ
              手荒い風は五月の蕾をふるわし
              また夏の季節はあまりにも短い命。
              時には天の眼はあまりにも暑く照る
              幾度かその黄金の顔色は暗くなる
              美しいものはいつかは衰える
              偶然と自然のうつりかわりに美がはぎとられる。
              だが君の永遠の夏は色あせることがない
              君の美は失くなることがない
              死もその影に君を追放する勇気はない
              君は永遠の詩歌に歌われ永遠と合体するからだ。
              人間が呼吸する限りまた眼が見える限り
              この詩は生き残り,これが君を生かすのだ。

               (シェイクスピア/西脇順三郎 訳)


              (別訳)

              君を夏の一日に譬えようか。
              君は更に美しくて、更に優しい。
              心ない風は五月の蕾を散らし、
              また、夏の期限が余りにも短いのを何とすればいいのか。
              太陽の熱気は時には堪え難くて、
              その黄金の面を遮る雲もある。
              そしてどんなに美しいものでもいつも美しくはなくて、
              偶然の出来事や自然の変化に傷けられる。
              しかし君の夏が過ぎることはなくて、
              君の美しさが槌せることもない。
              この数行によって君は永遠に生きて、
              死はその暗い世界を君がさ迷っていると得意げに言うことは出来ない。
              人間が地上にあって盲にならない間、
              この数行は読まれて、君に生命を与える。

              (吉田健一 訳)

              君を夏の日にたとえようか。
              いや、君の方がずっと美しく、おだやかだ。
              荒々しい風は五月のいじらしい蕾をいじめるし、
              なりよりも夏はあまりにあっけなく去っていく。
              時に天なる瞳はあまりに暑く輝き、
              かと思うとその黄金の顔はしばしば曇る。
              どんなに美しいものもいつかその美をはぎ取られるのが宿命、
              偶然によるか、自然の摂理によるかの違いはあっても。
              でも、君の永遠の夏を色あせたりはさせない、
              もちろん君の美しさはいつまでも君のものだ、
              まして死神に君がその影の中でさまよっているなんて自慢話をさせてたまるか、
              永遠の詩の中で君は時そのものへと熟しているのだから。
              ひとが息をし、目がものを見るかぎり、
              この詩は生き、君にいのちを与えつづける。

              (戸所 宏之 訳)




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