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カテゴリ:映画
『ねじの回転』の映画化である「回転」(’61)は中でもかなりできのいいゴシックロマンだろう。デボラ・カー主演映画で未見だったので録画鑑賞したけれども、これ以上はない端正なデボラ・カーの美貌が、その背景にまことに似合って、モノクロームの光と影が、静かなサスペンスをもたらす。 ジャック・クレイトンは作品は少ないけれども着実な成果をもたらすイギリス紳士そのままの作風といってもいいだろうが、昨今のホラー映画のこけおどしは一切使わず、これも端正な風景の中に想像力として落とし込む。デボラ・カーもアカデミー賞こそ逸しはしたが、よろめきを演じて随一(それもこの頃のよろめきとはまたひと味もふた味も違う端正なよろめき)と時代を画したその練磨された心理演技を、ここでも心理的動揺と惑乱のきわみをたたえるように示す。 何かが起こっているようでもあり、何も起きていないともいえる、その結び合わされたデボラ・カーの祈りの両手が、象徴するようにタイトルバックとラストシーンを結びつける。映画自体が転生するのである。 この前日譚が「妖精の森」(’71)で、幸い、それと知らず記憶にある。当時のマイケル・ウイナーには注目して見ていたが、この作品もマーロン・ブランドという傑物が、役柄の、いかにも下卑たあからさまな欲望を存在感を持って示し、女教師を誘惑する性の荒野を絢爛と描写しているはずだが、あいにくその部分をカットしたものしか見ていない。ぜひともノー・カット版を見たいものである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Apr 14, 2007 07:27:04 AM
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