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すべて人生は数奇なもの、奇異もまた普遍に至る! 最近観た映画。(157916)」
[ 映画 ]    

普通の人の4倍早く歳をとって急速に老人となるのはコッポラの「ジャック」('96)だったが、その逆、老人に生れた男が徐々に若返り、遂には幼児となり死んでいく「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」(2008)であるが、突き詰めていくと矛盾も出てくるお話で、所詮絵空事なのではあるが、そこは映画の特性、ややエッセイ風の筆致で、なだらかにその経緯を追う。

ブラッド・ピットには「ジョー・ブラックをよろしく」('98)という死神を演じた実績があって、死神らしくないブラッド・ピットが演じることで逆に現世のいのちの輝きが際立ったなかなかの名作で、今度ははてどういう趣向かというところが一種のみどころにはなる。原作がフィッツジェラルドとはいえ短編で、この167分の長尺、仕組み造りには骨も折れた(原作とは別に原案作者&脚本に「フォレスト・ガンプ 一期一会」のチーム)ろうが、やや距離を置いたかの変転が無理なくは描かれている。

ことに柱となる女性デイジー(エル・ファニング→ケイト・ブランシェット)との老人と少女の出会いから、たがいに年を経て双方の年齢が重なるくらいのところで一緒になり、だがその先の年齢の経過を想定してベンジャミンの方から身を引く、そしてさらに二十歳前の青年となってからの再会、そこにもやはり命のはかなさはにじみ、若き身の方にはより思春期の貴重さが知れる善き映画には違いない。

これを一篇の詩、ないしは寓話、あるいはファルスとみればよろしいわけだが、それにしては少々長過ぎる。これをさらに編集し直してせいぜい110分前後くらいに仕上げてあれば、さらに観客の想像を飛翔させ得たであろうに、やや具体的に過ぎたきらいもなしとはしないのである。なにも少年をアルツハイマーにすることはなかったなあ、と思うのである。見かけは若くとも積み重なる記憶は途切れ途切れくらいで充分なのではあるし。辻褄より遂にはこれはあくまでポエムとしてこだわって欲しかったきらいもある。
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Last updated  Mar 1, 2009 12:32:17 PM
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