
フランシス・ヴェベール、はて?と思ったが「Mr.レディMr.マダム」('78)の脚本家、人情喜劇をやらしたらフランス随一というが、監督作品は初めて観ることとなる。その「
奇人たちの晩餐会」('98)、掛け値なし、あれよあれよの面白さ。
ちょうど高座の落語をたしなむがごとく、そのテンポ、展開、まことよどみなく話を転がせ、あっという間にFINマークにたどりつく。
落語というからには<バカ>が出てくる。しかもこの「奇人たちの晩餐会」はそんな正真正銘の<バカ>を集めて名士たちが品評する晩餐会。世間にはどんな<バカ>がいるかとメンバーは鵜の目鷹の目。格好のシチュエーションではある。
招かれる<バカ>も、主催するのが出版社を経営する名士とあって、遂にわが一芸も見出されたかと、いそいそとその首実検に出かける案配。
一方その朝、その<バカ>をバカにして楽しむ趣味を嫌って妻が家出をしてしまい、そんな時にやって来る<バカ>、その応対中にホスト役の名士、重度のぎっくり腰を弾みで生じてしまい、歩行も不能となる。これが弱り目に祟り目の前兆。
さすがに友人紹介のメガネどおりのなるほど<バカ>と、晩餐会へのお墨付きを与えてグッドバイだったのだが、動けぬホストを見かねて舞い戻り、それからがいよいよてんやわんやの大騒動の疫病神、<バカ>をバカにしようと手ぐすねも、すっかり手をこまねく天を仰ぐ悲惨に至るその顛末、これがまるきり落語、本場の本邦落語もびっくりの落語の仕組み、落語のエキスの映画化とでも言ったら少しはその呼吸を感じていただけるだろうか。
落語好き必見の名品ではある。
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