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サステナブル・サプライチェーンの研究ブログ

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2007.11.27 楽天プロフィール Add to Google XML

廃棄ロスか?機会ロスか?
[ 循環型サプライチェーン ]    

 研究会幹事の下村(日本総研)です。

 最近、食品や外食での、賞味期限・消費期限の偽装が問題になっています。法律で決まっていることを遵守することは企業の責務です。ブランドの信頼性を損ねる行為は、顧客を裏切ることです。

■二つの考え方
 この問題が毎日のように報道されています。耳にするたび、ロジスティクスの立場から、私はいつも次のようなことを考えます。多くの会社は、1)に近いスタンスにあるのではないでしょうか。

1)売上を優先して、廃棄ロスを認める考え方
2)利益を優先して、機会ロスを認める考え方

1)売上重視・廃棄ロス是認主義
 単純に言えば、変化する需要に対し、ある程度の在庫(作り置き)を持って対応するという考え方です。少々の廃棄ロスが出たとしても、機会ロスを生じたり顧客を他社に奪われることがないこと、を優先します。この場合の利益は、「利益=売上-(売上原価+廃棄ロス)」となります(図)。
 この場合の価格には、当然、廃棄ロス分のコストが上乗せされています。顧客は欠品が少なく、いつでも手に入るという利便性を得る変わりに、廃棄ロス分のコストを負担していることになります。


2)利益重視・機会ロス是認主義
 変化する需要は不確実ですし、需要を読むことは難しいので、機会ロスが生じたとしても少な目に(売り切れる範囲で)在庫を持って対応するという考え方です。少々の機会ロスが生じたとしても、廃棄ロスを生じることは避けようという考え方です。この場合の利益は、「利益=売上-売上原価」となります。実現できない売上、機会ロスがありますので、需要は同じでも売上は1)の場合よりも少なくなります。
 この場合の価格は、廃棄ロス分のコストはありませんから、原価は純粋に製品を製造する為の原価です。製品の価値に見合った費用を、顧客は負担していることになります。

 賞味期限など製造表示の偽装問題は、1)売上重視・廃棄ロス是認主義が行き過ぎた結果と思われます。売上を重視する余り、廃棄ロスを是認できなくなったということです。

 2)の利益重視・機会ロス是認主義は、アパレルのビジネスでは時々見られます。しばしば「売り切り御免」と表現します。アパレルの場合は、製造能力や資材調達が間に合えば可能な限り需要を追いかけて生産するが~つまり1)の考え~、ある時点で見切りをつけて「2)の利益・機会ロス是認」に転じる、ということをします。


■廃棄ロスを出さない「ブランド」
 さて、循環型ビジネス、あるいは省資源で「大量生産・大量廃棄」ではないビジネスモデルが求められているときに、どちらの考え方が今日的な考えかといえば、私は2)だと思います。

 顧客への利便性を重視する、それが売上の増加につながる。反面生じる廃棄ロスのコストを、顧客が意図するしないに関わらず、顧客に負担させる。こうした考え方は、企業の一方的な押し付けのように思われます。顧客のことを考えているようで、実はそうではなく、自社の売上を伸ばし競争上優位に立つための行為なのではないかと、私は思います。

 そうではなく、顧客と共に、廃棄ロスの無いビジネス・無駄のないビジネスを追求する姿勢は、顧客の支持を得られるのではないかと思います。
 例えば『当社は資源の無駄使いをなくすため、廃棄ロスを一切出しておりません。その分、価格を低めに設定しています。ただし、限られた数量した作りませんので、お客様がお買い求めになる時に商品が無いことがあります。食品を無駄にしない考え方をご理解いただき、商品が売切れになることもご容赦下さい』というようなメッセージを顧客に伝えることで、理解が得られると思います。

 若いとき(学生時代)に、コンビニエンスストアでアルバイトをしていました。一番嫌な仕事は、商品の廃棄です。朝の4時か5時頃になると、販売期限が迫ったおにぎりやサンドイッチを回収します。朝一番で納品されてくる商品を棚に補充する為に、売れ残った食べ物を「ぽんぽんと捨てる」仕事です。私はこの仕事が一番嫌いでした。同じ光景は、今でも早朝のコンビニで見ることができます。
 廃棄ロスを認めるか、機会ロスを認めるか。この方針を決めるのに、消費財では小売業の考えというか、商品政策が大きく左右しています。小売業の考え方だけに原因を求めるわけではないのですが、それが大きな要因であることは間違いないと思います。商取引上、買い手が売り手よりも強い立場にあるからです。供給過剰で競争が激しい今日では、それが普通です。
 端的に言えば「小売業が機会ロスを認め、廃棄ロスを徹底的に回避する方針に転換」すれば、食品の無駄はなくなります。消費者は、廃棄コストという無駄なコストを負担しなくても済みます。

 顧客の利便性の向上という美名の下に、廃棄ロスを是認する売上至上主義を改める必要があるのではないでしょうか。廃棄ロスを一切出さず、資源を大切に使うという「ブランド」を顧客と一緒に作っていくことが出来ると考えます。


■概念図
1)売上重視・廃棄ロス是認主義
廃棄ロス是認


2)利益重視・機会ロス是認主義
機会ロス是認





Last updated  2007.11.28 05:05:36

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