カテゴリ:シリーズ京歩き
平安朝の頃の面影を伝え、静かにたたずむ古社。 緑に包まれた山裾に建つ宇治上神社には、古き雅びの風情が今に残されていました。 ・・・ 「源氏物語ミュージアムに行ってみたい」 と、妻のそんなリクエストに応えて、宇治へと出かけたのは、今年の2月。 源氏物語ミュージアムに行くのならば、 宇治上神社と宇治神社が、その近くにあるからということで、 そこまで足を伸ばした次第。 ちょっと前の話になってしまいましたが、 今回は、そうした半日宇治散策の時のことを振り返ってみたいと思います。 宇治市内の寺社の中では、平等院と宇治上神社の2件が 世界遺産(古都京都の文化財)に登録されています。 たまたま、この日は、宇治上神社で結婚式があったようで、 多くの人が集まっておられました。 こうした世界遺産にも指定されているような古社で、 結婚式を挙げることが出来るとは、ちょっと意外・・・。 というような話をしながら、拝殿・本殿の方へと向って歩いていきます。 宇治上神社の祭神となっているのは、 応神天皇・仁徳天皇と菟道稚郎子(うじのわきのいらつこ)の3柱。 菟道稚郎子という人は、自ら命を絶って兄の仁徳天皇に皇位を譲ったとされている皇子で、 その菟道稚郎子を悼んで創建されたのが、この神社の起源であるとも云われています。 藤原頼通が平等院を建てた時には、この神社が平等院の鎮守社とされ、 篤く信仰を集めたのだそうです。 明治まで、この神社は宇治離宮八幡と呼ばれていて、 かなりの神域を持っていた神社だったのだそうです。 やがて、宇治上神社の境内へ。 ここのお守り売場には、「願い人形」といって 着物姿の紙人形に願いを託すお守りがありました。 願い事を一つだけ、紙に書いて神社に納めます。 「ひとつだけ・・・」 と、悩みながらも、妻は願い事を書き込んでいました。 宇治上神社の拝殿です。 鎌倉時代前期の宇治離宮を移築したものであると云われていて、国宝にも指定されています。 この檜皮葺きの社殿が、なんとも言えず趣き深くて、 また、建物の造りには、寝殿造りの遺構が残されており まさに、平安貴族の邸宅といった風情が残っています。 本殿は、この拝殿の裏にあります。 この本殿も国宝で、平安末期である1060年(康平3年)の建築であるとのこと。 これが、現存する最古の神社建築であるとされています。 この建築年が、平等院の建築年と同じであるということから、 平等院の建立と、深いつながりがあるのではないか、とも云われています。 本殿内には、中央に応神天皇、左に仁徳天皇、右に菟道稚郎子が祀られているのだそうです。 この日は結婚式があったから、ということもあるのでしょうが、 この神社を訪れる人が結構多かったです。 ちょっと地味な神社ということもあってか、 少し前までは、来る人もまばらという状態だったのだそうですが、 やはり、これも、世界遺産登録の効果なのでしょう。 本殿横にある摂社。春日神社です。 これも鎌倉時代の建築で、こちらは国の重要文化財。 この春日神社の存在というのは、 この神社に対する藤原氏の保護が篤かったということの証でもあります。 今でも水が湧き出ているという、菟道稚郎子ゆかりの霊泉。 桐原水と呼ばれているもので、 宇治七名水のひとつに指定されています。 宇治上神社のすぐ近くにある、もうひとつの神社、 宇治神社にも行きました。 かつて、ここが宇治離宮八幡と呼ばれていた頃には、 宇治上神社が上社で、この宇治神社が下社という形になっていたということ。 この神社も、小さいながらも、宇治上神社と同じ由緒を持つ神社であります。 宇治上神社と宇治神社。 どちらも、しっとりとした雰囲気を持つ古社で、 まるで、心の深呼吸が出来たかのような、 そんな爽快感を感じる神社でありました。 そして、その後は、源氏物語ミュージアムで、華やかな平安絵巻の世界を堪能。 たまには、妻と2人で出掛けてみるのもいいものですね。 短い時間ながらも、とても充実した半日宇治散策となりました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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