不惑ワクワク日記

尾高さんを聴くのは、久しぶり、ですね。山のような期待、で出かけたんですが・・・・

大阪　ザ・シンフォニーホール
大フィル第４１４回定期演奏会
尾高忠明指揮　大阪フィルハーモニー交響楽団
ヴァイオリン独奏　サラ・チャン
シベリウス：ヴァイオリン協奏曲ニ短調作品４７
エルガー（ペイン補筆完成）：交響曲第３番

忙しくて間に合わなければ、エルガーの３番だけでも聴こうと思ってました。プログラムによれば、これが日本では２回目の演奏。これをはずすと、きっと実演を聴く機会などなかろうと。

で、結果から言ってしまえば、CD（デイヴィス・LSOのライブで持っているのだけれど）で聴いていても今ひとつピンとこなかったこののんべんだらりとしただるい曲、ちゃんと「聴かせて」くれる尾高さんの力量・・・・今日も感服致しましたね。

でも、やっぱり曲が曲で・・・・確かに、補筆完成版であって、スケッチをあーでもない、こーでもないと引っかき回してでっち上げた挙げ句の代物であることは重々承知の上ではあるが・・・・そして、魅力的な部分・エルガー最晩年の煌めきがそこかしこに散りばめられていて、そこはやはりぐっとくることも事実ではある・・・・が、全体としてみればやはり散漫であることは否めないでしょう。音楽を一つの凝集点にまで収斂することに成功はしていない、と思うなあ。

そこをなんとかかんとかそれなりのものに仕上げてくる、これはもうひとえに指揮者の力量であってですね・・・・この曲の１楽章がこれほど良く鳴るとは思っても見なかったし、４楽章の音楽の歩みがエルガー独特の「英国的」高貴さを湛えるところも、ああ聴けて良かったと思いましたね。

その一方で、ホントはエルガー自身が殆ど仕上げていたといわれる２楽章は平凡であまり心に残らないし、３楽章は眠い眠い・・・・それでも大フィルは、なかなかの健闘だと思いましたよ、ホント。特に、厚塗りのくすんだ色合いの中で様々な響きの模様を創っていく弦セクションと、ビシッと気合いを打ち込む打楽器陣が秀逸。それと、ペット・ボーン・チューバが今日はなかなかの頑張りだったですね。

ただまあ、折角の尾高さん、僕としてはこれだけで帰るんですかあ・・・って感じではありますが（笑）。

シベリウスのコンチェルトは、若いソリストの極めてエキセントリックかつ官能的なヴァイオリンが突っ走る演奏。これにつけていくのはさぞかし大変だったろうと、推察いたしまするが、ここも尾高忠明、なかなかの役者ぶりであります。助演とはいえ、聴かせるところはしっかり聴かせる、鳴らすところはしっかり鳴らす・・・・ははあん、こういうやり方もあるんやなあと、いろいろ考えさせられました。もう、このコンチェルト、ぐすたふ君、ライブで５－６回聴いているんですよ。だから、オケ側のライブでやるに当たっての難点なんかはかなり解ってきたつもりなもので。

ヴァイオリンは、ちょっとある意味、やりすぎじゃないかなあ、と思うところもありました。ハリウッド的、というのかしらん？あまりにも、外的な効果を狙いすぎているような気がして。それでも、その演奏効果、半端ではなく、ぐっとくるところまで持ってくる当たり、並の奏者ではありませんな。ただ、ここまでやったにもかかわらず会場の拍手は明らかに薄かったですねえ。

この拍手の薄さに機嫌を悪くしたのか、それとも自分の演奏に今ひとつ納得が行かなかったのか、それともオケのつけが不満だったか、チャン嬢、演奏後あきらかに不機嫌。こんな人始めてみましたね、ここまで露骨にわかる人。アンコールをやらなかったのは、このせいではないとは思うが、いくら今世界のトップランナーとはいえ、ちょっとこれはあかんでしょう。

まあ、聴衆とは正直なものですよ。馬鹿にしちゃいけない。そこのところ、よくおわかりになった方がよろしいんじゃないですか？・・・そんな風に思った、ぐすたふ君でした。