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2009年06月05日
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映画版は明日から公開ですね。

今年のゴールデン・ウィーク期間中に、NHKでドラマ
ハゲタカ」が3日連続で再放送されていました。

私は当初のゴールデン・ウィークの予定を変更して、3日
間とも毎日3時間テレビの前に噛り付いて観ていました。

このドラマのタイトルである「ハゲタカ」は、バブル経済
崩壊後の弱体化した日本企業を買い占める外資系ファンドを
指している(揶揄している?)ようでしたが、ドラマの結論
としては、当の外資系ファンドの代表である鷲津のなした
ことが、ハゲタカだったかどうかは明確にされませんでした。

このドラマを観ていて、結論が不明瞭ということに関連して、
ふたつ気づいたことがあります。

それは、外資系ファンドが企業の価値を評価する際の物差
しとしてDCF法(ディスカウント・キャッシュ・フロー法)を用いて
いるであろうこと。対して、日本の銀行等は評価の物差
しが別のもの(?)であったように見受けられることです。

企業を買収して、再建するなり、売却するなり、どちらで
あっても「買う」という時点で、前提として「いくら投資
したらいくらのリターンがあるのか」という投資の考え方
があるのは一般的な日本人でも理解できるところですね。

では、この必要な投資額を投入して十分なリターンが得ら
れないとき、つまり投資に見合ない買い物のとき、仕方が
なく1円とか、1ドルとか、1ポンドといった価格になり
ます。

ドラマのなかでも、バルクセールのときに各事業をデュー
デリーしたら、1円という評価になった事業が沢山ありま
した。この金額というのは、上記の投資の考え方によって
計算されますので、人によって多少の誤差は出たとしても
まったく違う金額になることは少ないです。

これに対して、日本の銀行は「そんなバカな」という対応
でしたから、DCF法によって評価をしなかったことが推
測されます(もちろん、現在の日本の銀行はどこもDCF
法で企業価値を評価しているはずですが)。

つまり、ドラマのなかでは外資系ファンドは一般的な投資の
考え方で企業価値を計算しているのに対して、日本企業の
企業価値の計算は投資の考え方とはかけ離れていたという
ことが、最後にテーマに取り上げられた大空電機の時価総
額についての考え方でも見え隠れしていました。

厳密に言えば、会計上でも「のれん」のような財務諸表外
の価値を財務諸表に落とし込む仕組みが整っていますが、
大きな考え方として企業や事業の価値を正しく理解できな
いと売買交渉が上手くいかず、売り手側が(不当に)安く売っ
てしまったり、買い手側が(不当に)高く買ってしまうこと
になります。

また、その商慣行が一般的になってしまっていると、この
商慣行や文化そのものが世界の非常識となり、日本経済の
リスクが高まることになるでしょう。

その隙間を突いてきたのが「ハゲタカ」の正体なのではない
でしょうか。

正しい投資の考え方を身につけて、ハゲタカと形容したり
揶揄することで思考停止する愚を乗り越えることが一番大
切なのだろうと思います。

もうひとつは、この投資の考え方の完全性について。

ゴールデン・ウィークの最中に米クライスラーが破産法を申請
し、イタリア・フィアット社と提携したことは、記憶に
新しいところです。

この破産法を申請するかどうかの瀬戸際のところで、少数
債権者の投資ファンドは最後まで政府をバックにした会社
側からの債権カット要求に応じず、法的再建となったことを
オバマ大統領が明かしました。

そのオバマ大統領のコメントの中で、一部の少数債権者が
再建計画に応じなかったと暗に批判し、報道によれば、一
般的にはこのコメントに賛成の声が多かったそうです。対
してウォール街では反対の声が多かったそうです。

先の投資の考え方のなかで、DCF法では、今後得られる
キャッシュフローを一定の割引率で割り引いて価値を算出
しますが、この割引率の基礎の基礎となっているのは国債
のレートです。

すると、市場で投資をしている投資家の自由の根拠という
のは、国の経済に依拠しているはずであり、「市場=国家
経済」の考え方が成り立ちそうです。

一方、再建計画に反対したファンドやウォール街は「市場=
国家経済」ではなく、市場というのは国家から切り離され
た独立したものと考えているように思えます。

だとすれば、一私企業が倒産するのは市場の中で起こって
いることで国家は関係なく、市場が危機の時に国家に支援を
求めるのは許されないことになりますね。

反対に、市場が危機の時に国家に支援を求める、または求
めなくとも支援を受け入れるのであれば、その段階で市場
だけが独立しているという考え方は、理論とは関係なく社
会で通用しない(モラルハザード)でしょう。

この時点で市場は明らかに失敗しているのですから、あく
まで自由市場の理論の通りに反対したファンドとウォール
街は批判されてしかるべきだろうと思いますし、今後の市
場システムを構築する際には、その部分にメスを入れて規
制をかけることが有効な対処法なのだろうと思います。

具体的には、会社法等の法律で、経営の状態をいくつかの
フェーズで規定することによってステークホルダーの自由
度を規制する方法だろうと思いますが、この法規制の考え
方が少し厳しすぎるようであれば、市場における取引の自
由に規制を入れることにならざるを得ないと思いますので、
なかなか最適策を導くのは難しいところです。

どちらにせよ、現時点での世界の経済と政治のシステムで
は「市場=国家経済」の考え方の範囲から、ルールを作る
しかないでしょう。

これが、現代の市場経済の限界点であることを理解してお
くことが、今後の経済との関係においてとても重要になる
と思います。

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Last updated  2009年06月05日 14時33分17秒
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