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2014年08月01日
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カテゴリ:
ピートとシェリーのマリアージュ。

Ballantines17yo.jpg

ピートとシェリーなどと言うと、英国紳士と淑女の話のように
聞こえるかもしれないが、ピートは泥炭のことで、シェリーは
アンダルシア・ヘレースの白ワインの樽のことだ。

先日、とある(としておこう)BARで、ハイランド・パークを頼
んだら、ちょうど最後の数十ml(要するに最後のちょっと)だった
ので、マスターが「いいよ、これ上げますよ」といってグラスに
注いでくれたのは、オフィシャルの18年だった。

かれこれ7,8年前になるけれども、ハイランド・パークは何を
思ったかブランド・リニューアルを行い、お世辞にもそれまでの
市場認知を引き上げることに成功する試みだったとは言い難いの
だけれど、現在販売されているこの18年物は、かつての上質な
シェリー樽仕込みが4割強ブレンドされていた豊かな味わいを
残しており、お互いに大きく一口ずつ飲んで10年くらい前の
古き良き昔を懐かしんだ。

ということで、豊かな味わいを求めてハイランド・パークを買う
のは、もうそろそろ長続きしない楽しみだが、もし同じ骨格の
ウィスキーが手に入るのなら、それを選べば場合によっては本家
よりも良いものが楽しめる。少なくとも理屈のうえではそうだ
けれど、それが見つかったりするのがウィスキー趣味の別の楽
しみでもあるだろう。

そうして封を開けたのが、バランタインの17年物。

「あれ?ブレンデッドは飲まないんじゃないの?」という声が
聞こえてきそうだけど、そんなことはありません(笑)。アマチュ
ア・ブレンダーの末席を汚している身だから、当然ブレンド物も
グレーンもテイスティングはする。

さて、このバランタイン。非常に興味深いことに、ひと口味わって
みると見事にハイランド・パークが姿を現してくれる。しかもシェ
リーが豊かだった10年ほど前の頃のそれだ。

スコットランドのウィスキー蒸溜所は、系列化がすすんでいるから、
ハイランド・パークの原酒はグループのカティ・ザークに使われ、
別系列のバランタインに使われることはない。なのに、ブレンデッ
ド・ウィスキーのバランタインを飲んで、シングルモルトのハイ
ランド・パークを感じるのはなぜか?その答えは簡単で、真実は
難しい。

その答えは両者とも原酒をブレンドしてできた製品で、難しい
真実とはブレンドのレシピは門外不出ということだろう。どちら
が本家でどちらが分家だということではない。互いに良くできた
原酒を美味しいと思う割合で混ぜたら、結果似たような味になっ
た、ただそれだけという可能性だってスコットランドの田舎なら
十分ありうる。

この興味深い現象にもし興味があるなら、バランタインの構成原
酒をお調べになると近道になるかもしれない。少なくとも同じ
オークニー・メインアイランドのスキャパ蒸溜所と、グレートブ
リテン本島最北端のプルトニー蒸溜所、同じくハイランドのバル
ブレア蒸溜所などはバランタインに原酒を供給している。

残るはヘヴィ・ピートとシェリーだが、これらもアイラ島のアー
ドベッグが供給していることを考えれば、点と点は繋がっていく
だろう。

こうして、一見永遠に失われたかと思われるオールラウンダーの
北の巨人は、これからも若干姿かたちを変え、我々のテーブルの
前に姿を現してくれる。

だから、私たちが飲んでいるウィスキーとは、ブランド価値や蒸
溜所の名前などではなくブレンダーの仕事、その結果なのだと
思い知らされる。

短いスコットランドの夏に乾杯したい。

感謝!






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Last updated  2014年08月01日 13時52分06秒
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