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カテゴリ:崖の下のミュー
痛くなかったのか、と脈絡なく尋ねた。
目の前の男は、眼で確認する前に手が自然に動いて排除してしまうようなかたちで、一瞬のすきまのうちにその問いに肯定の返事を与え、他のものは(猫とともに)それに気がつかなかったことにして彼がこの部屋の空間に帰ってくるのを待っている。 カモミールの香りと苦く焦げた土の臭いが混じりあって、机の端にある気まぐれな電気アロマポットから噴きだしている。 駅前通りの歩道を見たかい? 敷石が剥ぎとられた道路は、つぎの日には新しい素材で美しく覆われているんだ。 地面の凹凸はそのままで。 道路が平らにならされ、堅固なもので舗装されるまでの一時しのぎなんだけれど、地面のそれぞれへこんだ箇所やもりあがった場所にひとつひとつ名前があったことは、まだきみやぼくの記憶の中に残っている。 近い将来、あの道が完成した後、ぼくたちは何もなかったようにその上を歩くんだろうか? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009/03/03 06:56:08 AM
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