全て
| カテゴリ未分類
| 時事ネタ(ババネタ)
| 読書
| 崖の下のミュー
カテゴリ:カテゴリ未分類
少し仰角で見なければならない。
その目の辺りの表情のあいまいさが、相手の返事をうながしていることばの抑揚のなさとあいまって、発したことばの伝える意味と感情を打ち消した。 「……△×●◎▼××*◎×…………」 ひとつづきの音のつらなりだけがそこにあった。 目の前を歩いているカメラマンの背中向けて自動的に発射したあの兵士のように、自分の感情も意志も持たないまま、ことばは、ひとかたまりの物質として、受け入れられることを拒んで彼の頭と同じ高さにふわふわと浮かんで存在していた。 「いままで、バンカケしたことなかったね」 もう一人の男が軽い説明口調で言う。 「よかったら、住所とお名前を教えてくれる?」 車の後部座席に30台のメガネをかけた背広姿の男が、かばんをかかえて自分の足もとにめを落としている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009/10/09 04:03:41 AM
|