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2006年10月20日
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パリ左岸からセーヌを見下ろす天使。ヨーロッパ文明の根底には多神教・ギリシャ神話がある。

安倍晋三総理が最近読んだ本として山内昌之著「嫉妬の世界史」が
意外性をこめて話題になっています。

日本の生んだ天才ロケット博士(故)糸川英夫博士の
パリ工科大学(ポンゼ・ショッセー)での演題も
「ジェラシー(嫉妬)と、グラッジ(恨みつらみ)のマネージメント」
・・・人といかにうまくすりあわせていくかが自分の本来の目標達成にとって一番の大事

1990年、日本の航空機学界の父、故・糸川英夫博士の
パリ大学での講義の臨時の助手を勤めに私はボストンからパリに飛びました。

ところで、先生の大学でのこの演題を見たとき
やはり天才はなんとかと紙一重なのかと
一瞬、わが眼を剥きました。(その実、私だって十分にキ印なのですが)

パリのポンゼショッセはナポレオンが創設した伝統ある工科大学です。
そのMBA・大学院での講義の演題が「嫉妬とうらみ」。
 
しかも1学期36時間の講義を3日で行うと張り紙にあります。
80歳を越えた博士が1日12時間づつ講義を行うというのです。

はじめの日の朝9時、学生はたったの5人。
糸川先生は意にも介せず講義をはじめました。

糸川先生が太平洋戦争時に鐘起という飛行機
・・・これは飛行機の歴史に残る名機として語り継がれています・・・
を開発されたとき、何に一番苦労されたかということからお話が始まりました。
 
先生は言われました。
「君たちはパリ大学の大学院にくるほどの能力と資格を既にもった人たちだ。
君たちの能力にはもはや問題はない。
君たちが自分の勉強したことを生かして何かを実現しようとするときに
一番心しなければならないのは、人間のマネージメントだ。

多くの仲間の能力を生かし、目標達成のために
よいチーム・ワークを組むことは当然であるが、
そのとき一番心くばりをしなければいけないのは
上下左右の人間の嫉妬心とグラッジをいかにさばくかである。

ジェラシーやグラッジは人間だれもが持っている向上心と裏腹なのである。
ところが若いと、または若い君たちが仕事に夢中になっていると、
まわりの人が君たちの純粋に夢中になれることそのものも
人は羨ましく思っているということにすら気がつかないことが多い。

そしてそういう仲間のほんのちょっとのサボタージュが
とんでもない失敗を招くことがある。
またはちょっとした愚痴や悪口が上司の耳に入って誤解を生じ、
仕事をストップさせてしまうこともある。
結果として目的の仕事が完成しなかったら
君たちの努力も能力も無いと等しくなってしまうのだ」と。

さらに糸川博士は太平洋戦争中、
鐘起という飛行機を作りあげるまでの
人間関係の苦労はどんなものであったか。

その人づきあいの上での工夫をいかに積み重ねていったか、
具体的な実例を一つ一つ挙げながら講義は続きました。
講義が進めば進むほど、学生たちは身をのりだして聞いていました。 

次に戦後、糸川ロケットを開発する過程での実験とその継続も、
まさに人間関係の苦労が最大の難問だった、
どんな苦労の仕方だったということを話してくださいました。

先生が本当のことをそのまま淡々と話してくだされば下さるほど、
人間というもののおろかしさと難しさは喜劇的にさえ感じられました。

ロケットを打ち上げるまでには実験を繰り返さなければならないことは、
科学に携わるものならば、誰でもわかることです。

ところが糸川先生の中学校から大学までの同級生が
そのころの朝日新聞の科学部長をしていたそうです。

先生曰く、「彼だって一中、一高、東大出の秀才なんだ。
だけどたまたま私と同級生だったばかりにどうしても一番になれなかったのだ。

自分は勉強をしているという意識などなくて、どちらかというとパラノイアで
興味にかられて文字通りしらみつぶしに問題を解いていただけなのだけれど、
結果として大変な量の勉強をしていたようだ。

彼は気の毒だけども、勉強だと思ってやるから
私の勉強量に追いつくのは大変だったのだ、
ということを後年こうして気がつかされたのだ。

その科学部長はどうも私・糸川をうらんでいたようだ。
これが私の研究にとって大変迷惑なことになったのだ」
と次のようなことを明かされました。

糸川先生のロケットの実験、それは実験だから
当然完成に至らなければ上がらないものなのだ、だから実験をしているのだ。

ところが、ロケットを実験発射する度に朝日新聞は
「糸川ロケットまた失敗!」 と一面記事に大見出しで書き立てる。

そのためにだんだん予算を取るのが大変になって、
それに最大のエネルギーを費やさなければならないようになったそうです。

しかしついにロケットは上がった。
そのとき朝日新聞は三面記事にベタで一行、「糸川ロケットが上がった」

そばで助手をしている私も夢中で聞き入り、
まさに思いあたることばかりでした。

閑話休題

選挙も同じです。この十数年私も人生の実験を重ねています。
(以下の話をするからといって誤解しないでください。当分、選挙に私は関わりません。
いま私は政治を放下・ホウゲ・しています・・・放下についてはどうぞ広辞苑をひいてください)

人の眼には失敗と見えることでも、
私の足らざるところを天は教え補わしめているというのが私の実感ですが、
その都度、「マキ子さんまた落選」と言い立てられます。

事実は、選挙をやったからこそ、それに続く日々に
新しい仕事、世界、メディア、人々にめぐりあっています。
新しいことを学び、自分がまた鍛えられています。
ハーバード大学の外交センターに招かれたのもそのおかげ。
英語が怖くなくなった、しゃべれるようになったのもそのおかげ。
糸川博士の助手をすることになったのもそのおかげ。

当選してしまっていたらできないことだらけ。
まだ勉強することがあったのです。
DHCとめぐりあって、キレイというキーワードを
発見したのもそのおかげ。
とにかく私は不足だらけの人間でした。

いくら一生懸命代議士の妻をやっていても
得られない世界でした。
ヒラリー・クリントンも今実感していると思います。
リンカーン大統領も八回選挙に挑んで、
ようやく八回目に大統領になって
南北統一を果たしたのです。
チャーチルも、アデナウアーも、ドゴールも、レーガンも
吉田茂氏も中曽根康弘氏も、70歳をすぎてからが人生の時でした。

さて、糸川先生の言によれば、自分が人にたいして何の悪意もないからといって、
自分の存在そのものが他人にとっては悪だ
ということにもなるのも人間の悲しさだ、と。

恋愛を思えば容易に想像がつくでしょう。

とこかくこのパリ大学での講義は結果は大成功。
休憩時間のたびに糸川先生のこの講義の噂は広まり、
学生たちは連絡しあったのでしょう。

36時間の講義が終わるときには、
教室は聴講生であふれかえり通路にもぎっちり座り込んでみんなが聞き入っていました。

その間、先生はほぼ立ちっぱなしで話を続けられました。
自腹で行ったボストンからの往復の飛行機代は
私にとってもたいへん安いものになりました。








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最終更新日  2006年10月23日 09時54分02秒


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