藤原竜也君のロミオに惹かれてFCに入った友人にチケットを取ってもらい、
半年ぶりの蜷川作品出演の艶姿を絶好の位置で鑑賞しました。
まずは「卒塔婆小町」。
藤原君はでていませんが、この作品は美輪明宏さんも十八番にされているので、
老婆をするのが男性とパンフレットにあるのにまずは驚き。
いえ、美輪さんも男性なのですけれど。
ハチャトリアンの「仮面舞踏会」の調べにのせての、鹿鳴館での美しい舞姿が
強烈に焼きついていますので、演出の違いなどを愉しむことに。
「美輪さんの舞台」
舞台は、始めから濃厚。
五組の男女が公園のベンチで明け透けに戯れるなか、例のものすごいボロをまとった
壌晴彦さん演じる老婆と高橋洋さんの詩人が言葉を重ねます。
お二人ともお上手ではあるのですけれど、周囲の演技がやや目立ち過ぎ、
肝心のセリフに集中できないことも。
TVドラマでも、主役の二人が喫茶店などで話しているときに、エキストラが目立つことはご法度。
TVと舞台とは一緒にはなりませんが、照明をもう少し落としてあげるとよかったかもしれません。
公園から鹿鳴館に切り替わったときは、先ほどの五組の男女も正装に着替えます。
そのドレスがまた、美輪さんのときとは趣きを異に。
「日本で仕立てさせたものはどうも・・・。」というセリフもあるのですが、
それにしても、かなり野暮な色合い。
加えて、老婆から美しい貴婦人に成り変るのも、美輪さんは実際に着替え、
シワだらけのメイクも美しく一新されていましたが、
今回の舞台は、ボロでシワのまま。
よろよろしていた姿勢から、しゃきっと立ち上がり、声も若々しくされて、
「老婆を美しいと思い込ませる」演技を懸命にされていたものの
やはり説得力に欠けるような気がします。
一方、老婆に恋する詩人の高橋さんの、肉体を限界まで使い切った演技には
光るものがありました。
お姿も美しく、今後はもっと活躍されてゆくと思います。
最初に観たものが、一番鮮烈な印象を与え、視点のベースになってしまうこともありますので
今回の舞台には点が辛くなるのかもしれませんね。
どうぞご容赦を。
後から知ったのですが、この舞台に出ていた俳優さんは全て男性。
ハムレットの劇中劇のように、女形も使ってわきを固めるのは
蜷川さんの初演当初からの恒例なのだとか。
そのときの老婆は「義経」で後白河法皇を怪演されている平幹二郎さんで、
他のお仕事の都合で、リハーサル中は口ひげを生やした状態だったそう。
怪しげな彼の老婆、観てみたいと思いました。
「弱法師(よろぼし)」については後日。