冒頭からそれはそれは美しい映像が続き、和歌なども効果的に使われていて、
最後まで愉しめました。
場内はほぼ満席で、三島世代の年配の方々と、
行定・妻夫木フリークと思われる若い方々が混在する空間に。
あちこちからすすり泣きが聞こえ、ハンカチを用意してから観て大正解でした。
第二部の主人公・「勲」の父となるはずの飯沼が登場しない点、
清顕の手紙の嘘を伝える役目が本多になっている点、
聡子のもとへ行くために旅費を工面したのが本多ではない点など原作と違う部分も、
三島文学をよく噛み砕いてわかりやすく伝える一助に。
第二部を映画化するお話があったときは、どうされるのかしらとは思いますけれど、
「勲」繋がりのよしみで、うまくお作りになられることでしょうね。
「春の雪」の主人公・松枝清顕、原作を読んでも映画を観ても、
「源氏物語」の薫や源氏を思います。
手の届かぬものになってこそ、自分の恋心を知る清顕。
俗聖に惹かれ、宮家に嫁いだ中の姫を恋い慕う薫と、
帝の妃をかどわかし、関ある恋にこそ燃え上がる源氏。
「源氏物語」にヒントを得た著作もある三島氏は、
薫や源氏の終末が、恋に殉じたものでないことを残念に思い、
清顕を作り上げたのかもしれません。
空さむみ花にまがへてちる雪に すこし春あるここちこそすれ
ラストシーンでは、しきりにこの歌が浮かびました。
時を選ばず降る雪は 淡く儚く散る運命
邪恋をこそ極めれば 清き愛にて顕れる
真の美しさを得るためにも、ぜひ足をお運びくださいね。
ご覧になった方、よろしかったら感想をお教えくださいませ。
「春の雪」特集・めざましTV(あらすじあり)
美輪明宏氏絶賛・春の雪(原作あらすじあり)&TAKESHIS'
「春の雪HP」
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