368402 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【ケータイで見る】 【ログイン】

First Contact

A special holiday

俺は上機嫌で車を走らせていた
数ヶ月ぶりの休み
やっと一日中牧野と一緒に過ごせる

「ちょっと早いかな・・・まだ寝てんだろうけど」

寝起きのボサボサな頭で俺の前に出られるのは
あいつくらいだ

自然に緩む顔をパチパチと叩きながら
牧野のアパートへ向かってアクセルを踏み込んだ



  A special holiday



階段を上がって牧野の部屋のチャイムを鳴らす

・・・無反応

やっぱり寝てるよな?
迎えに行くとは言ったが何時とは言ってない
腕時計は6時30分を指していた


嬉しさのあまり、無謀な時間に来ちまったか?


でもこういう時のために・・・とキーケースから1本の鍵を取り出す

牧野に内緒で作った合鍵

これがバレたらあいつ、ここを引っ越すかもしんねえな?
苦笑いしながらゆっくりと静かにキーをまわす

カチャン

鍵の開く音がして俺はそ~っとドアを開けた

あいつ、またチェーンしてねえ!
不用心だから毎日ちゃんとしとけって言ってたのに!
・・・だから俺が中に入れるんだぞ?

言い訳がましく思いながら狭い玄関で靴を脱ごうとした瞬間
見慣れない物が目に飛び込んだ

いかにも高そうな男物の靴

当然ながら俺のじゃない
なんとか言う牧野の弟が履けるような代物でもねえな


俺はそのまま部屋へ上がった
この際靴を脱ぐとかそんなことはどうでもいい
心臓がドキドキして頭に血が昇るのが手に取るようにわかる


牧野はベッドで寝ていた
―――総二郎と一緒に


一瞬、頭の中が真っ白になった 
手に持っていたキーケースがシャランと音を立てて足元に落ちる

その音で我に返った俺は見てはいけないものを見てしまったという気がして
慌てて部屋を飛び出した


どういうことだ?牧野と総二郎が・・・???


握り締めた手が真っ白になって震えている
とにかくこの場から離れたかった
俺は車で来たことも忘れ、フラフラと牧野のアパートを後にした




・・・どのくらいたったか、はっきりしない
空が夕焼け色に染まってるということはかなりの時間が過ぎたんだろう
いつの間にか腕時計がなくなってるし
ここがどこなのかもわかんねえ
よく見ると体のあちこちに擦り剥いたような痕・・・


およそ俺には似合わない土手で大の字に寝っころがった


「・・・ちくしょ・・・」


知らなかったのは俺だけか?
牧野が好きなのは俺じゃなかったのか?
忙しさで構ってやれなかったのがいけなかったのか?
俺はどんな時もお前を忘れたことがなかったのにお前は違ったのか?


目の前には大きな赤い空


「・・・休みが終わっちまったじゃねえか・・・」


この日をどんなに楽しみにしていたか、お前にわかるか?牧野


明日からまた目の回るような忙しい毎日が始まってしまう
しばらくあいつに会うことも出来ないだろう

・・・こんな気持ちのままで仕事なんか出来ねえ



「はあ~ やっと見つけたぜ・・・」


頭の上から聞きなれた声
そこには総二郎が立っていた

手間かけやがって、とブツブツ言いながら
唖然として何も言えない俺の横に腰をおろす


「ほら、忘れ物っ」


投げてよこしたのは、俺のキーケース
ニヤリとしながらからかうように俺の顔を覗いた


「安心しろよ。チャリンコのお姫様には見つかってないからさ」
「・・・チャリンコのお姫様?」
「牧野だよ。お前がいなくなったって、一人で大騒ぎして探してる。
チャリに乗って」


なんで牧野が俺を探してるんだ?
大体、なんでお前と並んで話をしなきゃいけないんだ???


「おい総二郎、お前っ・・・!」
「あ~ストップ!!まずは誤解を解いてやるから落ち着いて聞け!!!」


その言い方にムカついたが、とりあえずヤツの話を聞いてやることにした

昨日、いつものメンバーで集まって飲んでたこと
途中で酔っ払った牧野を総二郎が連れて帰ったこと
なぜか気がついたらそのまま寝てしまったこと・・・

「まあそういうことだな、うん。やまし~ことは何もねえから」
ポンポンと俺の肩を叩いて笑った


・・・おい
そんな一言で俺が納得すると思ってんのか???


「あ、牧野には俺が一緒に寝てたこと言うなよ?
あいつが起きる前に俺は出てきたから」
「そんなの知るかっ!」


まあ・・・とりあえず俺の勘違いということにしてやってもいい・・・
よく考えれば、こいつと牧野がなんてありえねえ

けど牧野と一緒に寝ていただけでもムカツク
ほんとに何もしてねえんだろうな・・・?

「何だよ、まだ疑ってんの?悪いけど俺にも女を選ぶ権利はあるから」
「おまっ・・・どういう意味だよ」
「寝言で司の名前を呼ぶような女は相手にしないってこと!」

立ち上がって、総二郎は夕焼けを見つめた
その顔が、その遠い目がいつもと違う気がするのは俺だけか?


「お前まさか・・・?」
「おっ!ようやくお姫様も到着したことだし、俺帰るわ」


見ると、向こうからものすごいスピードで自転車がやってくる


「ちょっとあんた!!何やってんのよ~~~!!!!」

心配するじゃない!と涙目で思いっきりパンチする牧野

あいつの泣き顔を見た途端、貴重な一日が無駄になったことに気付いて
急に腹が立ってきた


「おい、総二郎。俺の休みを返せ!!」
「はあ?俺にそんな事言えるわけ???」

総二郎は俺にソレソレと指を差す
そこには例のキーケース・・・

「合鍵のこと、牧野には内緒にしててやるよ!
夜はまだまだこれからだぜ!じゃあな~~~」

総二郎は大声で叫びながら牧野の自転車に乗って逃げていった
軽やかな笑い声を残して・・・
って、あのヤロ~~~~!!!!


「あんた・・・合鍵ってなによ?」
「いや、それは・・・」
「まさかあたしの家!?」

俺たちは夕焼け色の土手を喧嘩しながら歩いて帰る

牧野と手をつなげることに感謝しながら

今日はいつもと違う特別な休日―――



※※※ お詫び ※※※

いつもお世話になっている葉月様に捧げます。
こんな総ちゃんでごめんよ~!!




*** お礼 ***

お友達の綴さんに、総ちゃんの出てくるSSを!とおねだりしたところ
快くお受けくださり、いただいちゃいましたv
私のが沢山お世話になってるのに~!!
本当に有難うございました^^






Powered By 楽天ブログは国内最大級の無料ブログサービスです。楽天・Infoseekと連動した豊富なコンテンツや簡単アフィリエイト機能、フォトアルバムも使えます。デザインも豊富・簡単カスタマイズが可能!

Copyright (c) 1997-2014 Rakuten, Inc. All Rights Reserved.