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Dr.半熟卵のつぶやき~女性医療の現場で働く産婦人科医の日記~

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February 14, 2005
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カテゴリ:婦人科の豆知識

今日の言霊:
 1日を、何事もなく無事に終われる・・・
 当たり前のようで、本当はとっても
 ありがたい事なんだよね。


 今週末はちょっと色々ありすぎたせいか、1週間のスタートがいつもよりスローな感じでした。とはいえ、お昼から緊急帝王切開に、お産が2件・・・体力的にはマッタリモードとは言いがたいかしら。

 月経痛に関してはフリーページにも取り上げていますが、他の方の日記を見て回っていると、やっぱり月経にまつわるトラブルの中でも「痛い!」というものが大多数・・・なので、改めて、月経時の痛みについてお話してみたいと思います。
 月経痛は、月経の数日前から出現して数日で治まる腹部や腰の痛みの事ですが、その痛みの程度は個人差がかなり大きいんですね。何となく重い感じ、という方から激痛で脂汗をかいて救急車を度々呼んでしまう、という方まで本当に様々。症状がほとんどなければ気にする必要はありませんが、毎回鎮痛剤が必要だったり日常生活に支障をきたすような場合は治療の対象になります。
 治療が必要なほどの月経痛は「月経困難症」の症状の一つとされています。月経困難症は月経の直前あるいは開始とともに下腹部痛・腰痛・悪心・嘔吐・下痢・頭痛などの症状が発現して、月経の終了前あるいは終了とともに消失するのが一般的です。最も頻度の高い症状が「痛み」なので、別名「月経痛症」ということもあるんですよ。

 月経困難症は原因によって2つに分けられます。明らかな原因となる病気がある場合を「器質的月経困難症」、原因となる病気がない場合を「機能的月経困難症」と言います。器質的月経困難症の原因として多いのが、子宮筋腫と子宮内膜症ですね。両者については以前の日記に詳しく書いてありますので参考にしてみてください。月経痛がひどかったら即、子宮筋腫や子宮内膜症の疑いがあるという訳ではありません。ただ、年々痛みがひどくなっていくようでしたら、原因となる病気が進んでいっているため、という事もありえますので、できるだけ早く婦人科で調べてもらう事をお勧めします。
 
 月経困難症の大半は、実は「機能性」のほうなんですが、原因となる病気がないのに何で痛いんでしょう・・・・1つは、月経の時期に血液を体外に出そうそして子宮がギュウッと収縮するから。もう1つは、子宮の周りの血流が悪くなってしまうから。
 出血量が多かったり、子宮の出口が細長かったりすると、がんばって血液を押しださなければいけないので子宮はよけいに強く収縮します。若くて子宮が細長い人や子宮後屈の強い人が月経痛が重くなりやすいのはこのためです。逆に、こういったタイプの月経痛は、お産で子宮の出口が広がるととたんに軽くなることが多いようです。
 この子宮の収縮に関係しているのが、子宮内膜で作られる「プロスタグランジン」という痛みの伝達物質なんです。プロスタグランジンは子宮や血管の壁を構成している「平滑筋」という筋肉を収縮させたり、痛みの信号を伝達したりする役割を持ってるんですね。だから、このプロスタグランジンがたくさん放出される人は、子宮の収縮も強いし痛みもたくさん感じてしまうと言う訳。
 子宮内膜から月経血へプロスタグランジンが放出されるのは、月経開始から48時間の間。だからこの時期が、月経困難症の症状が最も強い時期なんですね。下腹痛はプロスタグランジンによる子宮収縮によって引き起こされますが、月経時に見られる嘔気・嘔吐・腰痛・下痢・頭痛などの全身症状もプロスタグランジンとその代謝物質によるものです。子宮内だけに悪さするのではなくて、血液に乗って全身に作用してしまうから、様々な症状を引き起こしてしまうんですね。
 
 じゃあ、これらの症状に対してどうすればいいのか・・・・いくつか対処法をご紹介しましょう。
1)プロスタグランジンが作られないようにする
 痛み止めの中でも、「抗プロスタグランジン製剤」と言って、原因となる物質そのものを作られないようにブロックするタイプのものがあります。代表的なのは、ロキソニン・ボルタレン・ポンタール、など。飲むときのポイントは、プロスタグランジンがしっかり放出されきる前にブロックする、つまり痛くなりかけくらいの時に早めに飲んでしまう事です。

2)プロスタグランジンの量を減らす
 プロスタグランジンは、子宮内膜で黄体ホルモンから作られます。つまり、この子宮内膜と黄体ホルモンが少ない状態にすれば、プロスタグランジンの産生量を減らす事ができるわけです。子宮内膜を分厚くさせず、黄体ホルモンがたくさんでないようにできるもの・・・それが低用量ピルなんですよ。ピルは根本的なところに働きかけて、月経痛を改善してくれるんです。

3)子宮の周りの血行をよくする
 子宮が収縮すると、壁を伝って行っている血管がキュッと締まってしまうので血液の流れが悪くなり、「うっ血」による痛みが出てきます。腰周りの筋肉を緩めて、下腹や腰をしっかり温めるようにするといいですよ。
 具体的な方法はこんな感じ。
 ・下腹や腰にカイロを張る
 ・朝晩15分以上湯船につかる
 ・熱めのシャワーを腰に当てる
 ・寝る前に下半身中心のストレッチをする
 ・ゆる体操をする
 ・血流をよくする漢方を飲む

 逆に、月経痛を悪化させてしまうのは、ストレス・冷え・カフェイン・タバコ・甘い物などなど・・・これらをできるだけ避けることも大切ですよ。
 昔は「生理痛は病気じゃないんだから我慢しなさい」と言われていましたが、そんなのは間違いです。痛みは我慢すべきものではありませんから。日常生活をちゃんと見直して、漢方やピルをうまく利用しながら、快適な毎日を手に入れていってくださいね。

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Last updated  February 14, 2005 09:27:08 PM
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