フリーライターのつぶやき(11)
これはまだ、私がライターと名乗り始めたばかりの頃の話だ。何をすれば仕事ができるのか?と探っていたときのこと。すでにライターとして活躍をしている人に話を聞いた。彼女は、育児関係のガイドブック作成の他に、ガーデンニング関係の実用書を手がけていた。つまり、専門分野を持っていたのだ。しかし、私はその時、なにかについて一冊の本がかけるほどの専門知識は持ち合わせていなかった。私が彼女に「やはり専門知識をもっていないとだめですよね」と聞くと、彼女はこういった。「ライターは専門家でも研究家でもないから、そんなに専門知識にこだわる事はないわよ」「でも、なにか本を書こうと思ったら、やはり専門知識が必要じゃないですか?」と私が聞くと。「確かに、あることについて書くのだから、それになりのその分野の知識は必要だけど、それは、その本を書くときに資料を集めて勉強してもいいのよ。つまり、始めから専門知識を全て持ち合わせておく必要はないのよ」私には、すぐに彼女が言っていることが理解できなかった。すると彼女は。「専門知識はね、専門家の人が持っているの。ただ、その専門家の人が書く文章っていうのは、専門知識を持っていないと理解しがたい場合が多いから、ライターが、一般の人にも理解しやすいように書き直す感じかな?だから、その程度の専門知識は持つ必要はあるけど、最悪の場合は、必要に応じて資料を集めるなり勉強すればいいのよ。ただ、自分が興味があったり、得意な分野の方が、書きやすいし、勉強もしやすいじゃない?そういう意味で、専門分野をもっていた方がいいけど、専門知識を持つことはこだわらなくていいと思うけど」と説明をしてくれた。ははぁ~なるほど。確かに、自分が興味があることの方が、頭に入ってきやすいし、誰かに説明をする場合にも、自分が実感を持って説明できる気がする。専門知識と堅く考えていたことが、なんとなくおかしくも思え、ライターとは、誰かにわかりやすく説明をするための文章を書くのが仕事なのだということすら理解できていなかったのかと思うと、情けない気もした。今でも、私の専門分野とはなんだろうと考えることがある。でも、自分のアンテナが向く方向を見て、丹念に情報収集することで、自然と専門分野はもてるようになるのかもしれない。常に好奇心旺盛に行動することを心がけること、それもライターとして必要な要素なのだと思う。