テーマ:楽器について♪(3648)
カテゴリ:用語解説
「迷いネコ」さん
から、こんな書き込みをいただきました。 >そういえば、うちの子、学校で鍵盤ハーモニカやってます。 >ハーモニカって言うよりオルガンに近くない?(違うかな?) ----- この(素朴な)感想 じつは大正解なんですね!! ハーモニカの歴史を簡単に紐解くと 1. 「パイプオルガン」の普及版として 中国の「笙」の原理(「リード」という薄い金属片を鳴らして音を出す)を取り入れた 「足踏みオルガン」(正式名称は「ハーモニウム」)が生まれる。 ゼンオン 笙(しょう) ヤマハ足踏み式リードオルガン 2. 「足踏みオルガン」の調律用に、息で「リード」を鳴らす道具が生まれる (ドイツ・ベルリンの「クリスチャン・フリードリッヒ・ブッシュマン」の発明した「アウラ」が元祖という説が一般的) 3. 「2.」を改良し、現在の「ハーモニカ」が生まれる。 個人で製造・販売した者はそれ以前にもいるが、 本格的に大量生産をはじめたのは、ドイツ・トロシンゲンの時計職人 「マチアス・ホーナー」。 (現在もトップ企業の「M.HONER」社の創業者) HOHNER MARINE BAND CLASSIC さて、ここまで進化してきた所で、今度は先祖帰りを始めるのですね。 「ハーモニカ」はすばらしい楽器ですが 1つの音符を奏でるごとに たくさんある穴に息を吹いたり吸ったりしなければなりません。 それに不便を感じる人がいるわけですね。 実は2.の「ブッシュマン」もその1人で、 彼は手で蛇腹を動かして空気を送るように改良して それを、「ハンド・エリオーネ」と名付けます。 この原理で思い当たる楽器、ありませんか? そう、これが「アコーディオン」の原型と言われています! デリシア アコーデイオン (チェコ) 一方、ハーモニカを改良しようという動きも始まります。 4. 息を吹き込み、ボタンを押して音を出す 「ボタン式ハーモニカ」が生まれる。 代表的なものは、「ホーナー」社の「メロディカ」。 5. 第二次世界大戦後に、4.が日本に輸入されるようになる。 6. 4.を改良して、鍵盤式の 「鍵盤ハーモニカ」が誕生。 僕が調べた範囲では、元祖は 1961(昭和36年)、「東海楽器」の「ピアニカ」です。 元祖ピアニカ P-32(リンク先は現在、在庫切れのようです) また、 「鈴木楽器」の「メロディオン」 (ボタン式のアコーディオンの種類に同じ名前の物があるので紛らわしいのですが) スズキメロディオンMX-27 「トンボ楽器」の「ピアノホーン」 (現在は生産中止) なども、「元祖」を主張しています。 いずれにせよ、 「鍵盤ハーモニカ」は、日本人が、発明した。 (「田口トモロヲ」風に。楽天広場で音楽を使えたら「地上の星」を流すのですが) 7. その後、 「全音」の「ピアニー」 ゼンオン ピアニー 271 A が発売され、 「鍵盤ハーモニカ」原型となった ホーナーの「メロディカ」も、鍵盤式に改められます。 HONER(ドイツ) メロディカ Soprano HONER(ドイツ) メロディカ Piano 26 (上のタイプはまだ原型を少しだけ留めていますね) さて、あの巨大メーカーの名前がまだ出ていません。 「ヤマハ」です。 7. 1967(昭和42)年に 「東海楽器」の「ピアニカ」は「ヤマハ」のブランドで発売されます。 そして1973(昭和48)年に自社開発の「ピアニカ」に切り替えます。 ヤマハ ピアニカP25F そのため、「東海楽器」は1985(昭和60)年から再び自社ブランドで 名前を「元祖ピアニカ」として発売を再開します。 8. 1983年(昭和58年)に 「鈴木楽器」の「メロディオン」を 「河合楽器」が自社名をつけて発売開始。 (おそらく教育ルートのみと思われます) これで、ようやく教育楽器メーカーのそろい踏みとなるわけです。 (「トンボ」は例外ですが) そして、ようや「迷いネコ」さんの疑問に戻りますが ・歴史をたどれば 「足踏みオルガン」から「ハーモニカ」が生まれ 「ハーモニカ」から「ピアニカ」が生まれた。 似ていると感じる「迷いネコ」さんの感性はすばらしい! ・「ピアニカ」が生まれてわずか44年。 ・平成14年4月1日から施行されている、 いわゆる「新学習指導要領」の 「第1学年及び第2学年で取り上げる身近な楽器は,様々な打楽器,オルガン,ハーモニカなどの中から児童の実態を考慮して選択すること。」 この「など」を解釈して、鍵盤楽器などに移行しやすい 「鍵盤ハーモニカ」を採用する学校が最近では多い。 以上3点、お分かりいただけたでしょうか? このブログをお気に入り日記に追加 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[用語解説] カテゴリの最新記事
|
|