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元SF小説家・春橋哲史のブログ(フクイチ核災害は継続中)

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2018.08.09
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​​​​​​​​​​​​​​ 当ブログでは、フクイチ(福島第一原発)のALPS(アルプス)処理済み水の処分方法・時期に関する経産省の「説明・公聴会」の記事を集中してアップしています。

​​ 全体の振り返りは一区切りついたので、今回の記事から、詳細を書いていくようにします。

 単に「海洋排水反対!」と叫んだところで、敷地内のタンクを設置する場所(タンク用地)が無くなりつつあるのは事実なのですから、本記事では、基本的な事を押えていきます。取り敢えず、第一弾として、「タンク用地の限界」と「最大容量137万t」について見ていきます。

 ポンチ絵の無断転載は御遠慮下さい。


フクイチの構内図とタンクエリア~タンク設置可能エリアは限界~

 
先ず、フクイチ(福島第一原発)の構内図・住所・面積・施設の位置関係を示します。
 敷地南側がタンクエリアで、その北側に3種類のALPSが並んでいます(東から西に向かって、「高性能ALPS」「増設ALPS」「既設ALPS」)。



出典:​多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会説明・公聴会説明資料


 経産省の説明用資料には、タンク設置エリアの現状と見通しについて、以下のように記載されています(説明用資料・PDF5頁/抜粋。括弧内は春橋にて補ったもの)。

◇タンクの設置エリアは発電所敷地の南半分の多くを占めており、現時点では、(2020年までに)137万m3までのタンクの建設計画が策定されている。
◇他方、北側は廃棄物貯蔵施設等の建設が予定されているなど、タンクを建設するために適した用地は、限界を迎えつつある。


 経産省の資料には書いてありませんが、汚染水貯留用のタンクは、津波対策として、福島第一の海抜35mの地盤で、平坦な所に設置されています。
 又、単にタンクを設置すれば良いというものではなく、既存のタンク同士の接続や、ALPSとの接続も踏まえて、配管の引き回しも考慮しなければなりません。

 固体廃棄物貯蔵の場所も確保しなければならない事を考えると、敷地内に、新たなタンク用地を確保する事は物理的に困難でしょう。構内図を見て、明らかです。

 従って、

「タンク設置に適した用地は、限界を迎えつつある」のは、事実として認めなければいけません。


設置可能容量137万tの内訳~満水には出来ない~


 続いて、「2020年までに137万t容量」の件です。

 この数値については、昨年9月末に公表された「中長期ロードマップ」に記載されたのが最初でした。以後、東電もこの数値を繰り返しています。
 水は今も増え続けていますし、降雨も有ります。台風等によって水が急増する場合もあるでしょう。現場に責任を負っている東電が、その辺りの数字をどのように見込んでいるのか、確認しましょう。
 この点については、本年5月18日に原子力規制委員会で開催された「第60回 特定原子力施設監視・評価検討会」で、東電が資料を提出しました。

建屋滞留水の処理に必要なタンクシミュレーション​(PDFファイルの最終頁)

 この資料には、「台風による大雨、地下水流入量の上振れ等のリスク考慮分:約9.0万㎥」「ALPS処理前に一時貯留するタンクとして約2万㎥を確保しており、溶接型タンクの合計容量は137万㎥となる」と記載されています。

 端的に書くと、「リスク考慮分として約9万t容量」「一時貯留用として約2万t容量」です(合計11万t容量)。

 小学生の算数じみていますが、改めて、計算すると、

最大容量137万t-貯留用として見込めない11万t容量=126万t容量 となります。

 つまり、実質貯留可能容量は、約126万tです。


現状のタンク内貯留水増加量

 では、実質限界である126万tまで、どの程度の期間で到達するのでしょうか?

 今年のタンク内貯留水増加量は、約6000t/月間、7月末時点のタンク内貯留水総量は約109万4000tです。この二つの数字を基に計算してみます。

====計算式・A、ここから====

実質容量126万t-貯留量・約109万4000t=実質余裕容量16万6000千t

実質余裕容量16万6000t÷増加量6000t/月間≒28ヶ月 となります。

====計算式・A、ここまで====


 仮に、リスク考慮分を加味せず、135万t容量まで使ったとすると、

====計算式・B、ここから====

最大容量135万t-貯留量・約109万4000t=余裕容量25万6000千t

余裕容量25万6000t÷増加量6000t/月間≒43ヶ月 となります。

====計算式・B、ここまで====

 但し、計算式Bは、タンク容量を限界まで食い潰す計算ですから、非現実的です。

 タンク容量の限界まではあと2年程度と見た方が無難でしょう(幾つかの仮定を置いて計算したものであり、今後の状況によって変動は有り得ます)。

 又、本記事をお読みの方の中には、「リスク考慮分は6~7万t容量で十分」「敷地の利用方法を見直す事で、タンクの増設は可能であろう」と分析している方もおられるかも知れません。

 私も、リスク考慮分の幅や、タンク設置可能な敷地については、工夫の余地は否定できないと思っています。とは言え、

 仮に敷地の利用方法の見直しや、リスク考慮分の圧縮で6万程度の増設が可能だったとしても、月間増加量を考えると、問題を1年程度、先送りするに過ぎません。

 これでは、本質的な問題は解決できません。寧ろ、敷地をギリギリまで設備で一杯にしたり、汚染水の量を増やすことが、リスクに繋がるかも知れません。

 従って、処理水の貯留に関しては、
敷地内での工夫で貯留容量を増やすのは限界であることを前提として、
 考える必要があると思います。

 もう一つ考慮すべきは、「2020年までに137万t容量」というのは、今後も、溶接タンクの設置・リプレース(フランジタンクからの置き換え)が続けられるという前提である事です。被曝労働ですし、地震・火災等によって、作業が中断したり、出来なくなる可能性もあります。

 137万tは、現在は「書類上の数字」です。現場で被曝労働している方達が、2020年まで、タンクの解体・撤去・新設・パトロール等を続けてくれてこそ、実現できる数字です。

 そういう意味でも、私は、
「2020年までに137万t」という数字に寄り掛かり過ぎるべきでないと考えます。
 
万一、タンク増設が出来ない・成り立たないような状態になれば、フクイチでの水処理・汚染水貯留は数カ月もたずに破綻するでしょう。

 次回は、トリチウム水タスクフォースの報告書等を踏まえて、処分方法の選択肢をおさらいしてみます。

春橋哲史(ツイッターアカウント:haruhasiSF)​​​​​​​​​​​​ ​​​​​​​​​​​​​​





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Last updated  2019.09.11 01:04:07
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