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韓国の小説を映画化したものだそうです。現代の若いオ刑事役にイ・ジョンジェ氏。彼は殺人事件の捜査中、ある日記を見つけます。そこに書かれた50年前の朝鮮戦争時代、捕虜の脱出に加担したソン・ジヘ(イ・ミヨン)とファン・ソク(アン・ソンギ)の悲劇的な愛を背景に、今なお残る深い傷跡を壮大なスケールで描こうとしたペ・チャンホ監督の意欲作です。

出だしはミステリー色が強く映像も凝っています。ジョンジェは全身黒ずくめで、少し反抗的な刑事をクールに演じています。ナイトクラブのアクションシーンはかっこよかったですよ。

事件を捜査するうちにある容疑者が浮かびます。モアイ像や長い橋のかかる所といったら地元の人なら見当がつくのかしら。その人物を追ってオ刑事は日本の宮崎へ飛びます。芸者や地震といったハリウッド並みのとんちんかんな日本の描写には、もう笑うしかないって感じかな。

この映画、殺人事件の犯人に迫るオ刑事が主人公なんだろうけど、いいところは全部アン・ソンギ先生に持っていかれた感じです。でも不思議と悔しさがない。

「その人に触るな!誰も触るんじゃない!!」

無実の罪で人生の大半を独房で過ごしたソクが、50年ぶりにジヘと再会し絶叫するシーンです。寡黙で不器用、でも心の中には熱いものを持っている。そんな役をやらせたらピカイチの御大。一方、現在と過去のさまざまな情報を私たちに伝える案内役のジョンジェ。このシーンのあとではさすがのジョンジェも印象が薄くなってしまいました。

しかし、1952年生まれのアン・ソンギ氏と1971年生まれのイ・ミヨンさんが同年代を演じるのはいかなことにも無理があります。同じ俳優を使うなら特殊メイクなりなんなりして、50年後のジヘをしっかり作って欲しかった。それからチョン・ジュノさんの日本語にも字幕をつけてください。

タイトルの黒水仙とは、いわゆるコードネーム。暗号なわけですが、ミステリーでもあり刑事ドラマでもあり歴史ドラマでもありラブ・ストーリーでもあろうとしたために詰め込みすぎてぼやけてしまった。そこが残念。過去の歴史を知っていれば少しは理解度も増すのかな。

黒水仙 特別版 黒水仙 特別版





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最終更新日  2006.01.27 21:48:54
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