テーマ:カウンセラーの独り言(503)
カテゴリ:心理学考察
精神病なんかと呼ばれるものは大きく分けると3つのものがあります。それは「精神疾患」「人格障害」「発達障害」の3つ。きちんと勉強していないとどれも同じに見えると思います。でも気をつけないといけないような風潮になってきているような気がしますよ。なぜなら3つのうち病気なのは最初の「精神疾患」だけですから。
「病理」を捉えるのって難しい。何をもって「病気」とするかっていうこと。僕はそちらが専攻ではないから正確なことはわからないけれども、東洋医学的な見地は持ってると思います。そういう見地で話します。 1.病気とはなんなのか? 精神疾患と人格障害がわかりやすいのですが、人格障害は精神病理とはジャンルが異なる領域なんです。発達障害もまたしかり。 だいたい病気っつっても何が病気なのか?って話しに行き着くんです。 カゼは病気でしょうか?病気ですよね、大抵の人が病院に行きますし。 じゃあカゼってどんな病気なんでしょう?鼻が詰まること?ノドが痛いこと?熱が出ること?これって全部ただの「症状」でしかないんですよね。結局カゼの場合は体内にウィルスが侵入して、免疫の力を超えてしまって免疫が過剰反応してる状態なんですよね。 つまり鼻が詰まるのもノドが痛いのも熱が出るのも、実は人の身体が防衛のためにやってることなんですよね。ってことは自分で自分を苦しめているってことですね。まぁ、原因はだいたいウィルスですが。ってことで抗生物質を処方されるんですけどね。 でも抗生物質以外にも処方されますよね。ノドの痛みを抑えたり、たんを出しやすくしたり。つまりカゼのときに処方される薬ってのは、抗生物質以外は対処療法なわけですね。 過剰に働いてしまっている免疫を少し緩めて症状を緩和して体力を回復させ、その回復した身体の自己治癒能力を活性化させるということですね。 結局は人が持つ自己治癒能力が正常に働くのを待つしかないわけです。これは打撲でも骨折でも同じこと。人が身体の障害に対して直接対抗できることってのは、抗生物質と外科手術しかないんですって。 ってことは病気ってのは人の自己治癒能力が弱っちゃってる状態ってことになりますよね。ってことは誰でもなりうることなわけですよね。 2.精神疾患とそうでないもの じゃあ、精神疾患の場合はどうなんでしょうね。今でこそ精神病患者に対する偏見は何十年も前よりかは緩和されてきているとは思いますが、それでもまだ知らない人や恐いというイメージを持っている人、差別視する人はいますよね。 でも、精神疾患ってのは誰でもなる可能性はあるし、すでになっているけど健康な人と変わらない生活をしてる人もたくさんいるんですよ。あなたの近しい人の中にもひょっとすると精神疾患を持っている人がいるかもしれませんね。 では精神疾患がどんなものなのかってことを話してみますね。 上記したとおり、精神疾患ってのは分け方や定義が難しいです。分かりやすいところで話すと「精神分裂病」ってのがありますよね。これは病理です。 近年ネーミングが変わって「統合失調症」となりましたが、もともとドイツ語のSchizophrenieを直訳して「分裂病」となっていたのですが。ネーミングからくるイメージの影響を考えてネーミングの変更に至ったと聞きます。ま、精神の統合が失調してるからってことなんですけどね。 統合失調症の主症状は幻聴です。また、発作の出るパターンは多岐に渡ります。ひどくなると入院となります。対処として徐々に有効はお薬が出ているようです。薬の服用は長期にわたります。完全に治癒するということは稀のようです。しかし薬の服用を継続すれば発作はかなり軽減できるようです。薬も長期の服用を前提として副作用はかなり少ないものを採用しているそうです。 次にたまに耳にするのは「人格障害」でしょうか。少し前に流行った青少年犯罪での精神鑑定の結果で「解離(かいり)性人格障害」なんて聞いたことありませんか? 人格障害は精神病理ではありません。 あくまで「人格」の問題なんです。少し付け加えておくと、「人格の偏り」が強く、周囲の人(大衆)とのコミュニケーションがうまくいかない人格ってことです。だからあんまり薬は処方されません。処方されるとしても、精神安定剤や胃薬的なものでしょう。 余談ですが、車酔いの酔い止め薬ってありますよね。あれには微量の精神安定剤が入ってたりするんですよ。 ということで人格障害ってのはアメリカのDSM-4っていう精神科で使われる診断基準で多岐に渡る種類が載ってますけど、病気ではないんです。 ほんで次が発達障害ですね。「知遅れ(ちおくれ)」なんていう言葉はもう聞かなくなりましたね。差別用語になったんでしょうか。表情に特徴があったり、どこでも大声で叫んでしまったり、過剰に音に敏感だったり、授業中に突然教室を飛び出してしまったり、なんて人いますよね。最近ドラマにもなってましたが「自閉症」も近いのですが、最近では「脳機能障害」というくくりになるようです。 これも病気ではないんです。その原因の多くは遺伝的なものだったり、遺伝子の欠損だったり過多だったりするようです。なので障害を持つ人ということでしかなくて、病気ではないんです。 これら障害を持つ人たちであっても適切な環境下に置かれれば何も問題なく、どう見ても健康な人たちと見分けがつかないほどです。 3.精神病理とは こう考えてくると病気と健康の境界線ってわからなくなってくるのは僕だけでしょうか?果たして病気、精神疾患って何なんでしょうね? 薬が処方されるのが病気っていうくくりもありますよね。そうすると「うつ」は病気になったことになりますね。最近SSRI(セロトニン再吸収抑制剤)という「うつ」によく効く薬ができました。この薬で「うつ」の症状(憂鬱間の持続)がかなり軽減されるそうです。 セロトニンっていうのは脳内の神経伝達物質で、意欲に関わる物質なんですけど、シナプス間で分泌されたセロトニンが再利用されるために吸収されるのを抑制し、シナプス間にセロトニンを長く滞留させることによって意欲を向上させるっていうのがこのSSRIです。 「うつ」にはSSRI以前には“特攻薬”っていうのがなくて、精神科や心療内科っていうよりもカウンセリングの範疇だったので、いわゆる病気というくくりにでききれなかったんです。これが原因がわかってきて、薬ができたことによって精神科や心療内科の範疇に入ったんですね。テレビでもばんばんCMやってましたよね。 では「うつ」は病気なんですかね? 特性は病気の範疇ですね。病院で対応してくれるし、症状もあり、薬もある。 でも、原因や薬がわかるまで完全な病気ではなかった。どういうことなんでしょうね? 僕が思う病気の定義ってのがあります。それは「逸脱」。 要は病気ってやつはひっくり返して表現したら「健康じゃない」ってことだと思うんですよね。んで、健康ってなんだろうって考えると、なんとなく社会活動をうまくやってるってことだと思うんですよね。元気に働けて、関わる人たちとなんとなくうまくできている状態。これが健康なんじゃないかと。これは身体的にも精神的にも同じことが言えそうです。 つまり「病気」ってのは、また「精神疾患」として考えても、これらはつまり社会からの「逸脱」してるタイミングってことだと思うんですよね。だから精神疾患も人格障害も発達障害も社会とうまくやってれば病気じゃないってことだと言えるんじゃないかと考えます。 ということは他者、社会、大衆から「病気」と認知されたものが「病理」ってことじゃないかと思うんですよね。テレビ見てても変な人いっぱいいると思いません?特に芸能人なんかには。でも誰にも本気で「病気」とは捉えられてませんよね。でも特性を見たら病気な人なんてたくさんいるんですよね。だから要は社会といういろんなサイズの集団から激しく逸脱してるかどうかってことだと思うんですよね。 また、社会から病気だと思われていない人でも自分自身のことを病気として認識している人もいますよね。「精神科に通っているから」とか「カウンセリングを受けているから」とか「薬が必要だから」とか。上記のような考え方をしたらその病気は病気ではなくなっちゃいますね。 じゃあ何なのだと言うならば、それはただ単なる「身体の特性」でしかないと思うんですよね。高血圧って病気っぽい響きないですよね。でも薬を服用するケースもあるんですね。でもその身体の特性とうまく付き合っていれば健康な人と変わりませんよね。 精神疾患ってのもそういうことだと僕は考えてます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.02.17 22:48:20
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