賞罰は学習意欲をかえって殺すんだよ!
学習意欲の低下が、教育界の最大のテーマです。もし、これが、アメとムチのせいだったとしたら・・・・・・。どうします?日本の教育の最大の、的外れ、あっち向いてホイ、ですね。 グラックスバーグ(Glucksburg ,1962)は、機能的固着(functional fixedness)という固定観念いわゆる先入観を引き出しやすい問題を使って言い換えれば、頭を柔らかくしないと解けない問題を使って賞罰のある無しの効果を計りました。 そうすると、単純計算などの「やさしい問題」では、動機付けが高い方が、成果があったのですが、頭を使う問題では、逆に成績が悪くなることを見いだしました。 解答に至る時間も長くなるし、正解率も悪くなるのです。これは、大きな賞罰が与えられるほど、そうなります。 また、デシ(Deci,1975)という人は、ソマという組み立てパズルを使って、大学生に実験をしています。ほうびを与えられたグループとそうでないグループの行動の違いを分析したのです。 そうすると、ご褒美を貰わなかったグループの方が、もらったグループよりも、課題に対して、意欲的で、休憩時間までのめり込んでいたのです。 幼児でも同じような結果が報告されています。リッパーたち(Lepper,Green,& Nibett,1973)の実験では、ご褒美を約束して絵を描かせたグループは、一切ご褒美をもらわなかったグループに比べ、自発的に絵を描くことが少なくなるということです。 これは、途中で、予期せずにご褒美をもらっても同様に、急に、意欲が減退することがわかっています。 不思議なものです。でも、考えてみると、たとえば、あなたの大好きな趣味・道楽を思い浮かべてください。たとえば、釣り、料理、盆栽、ゲーム、何でも今まで純粋に楽しんでいたもの、それに、急に大きな意味を与えられたら・・・・・・ 大金が手に入る、就職できるまたは、逆に、入学できない、就職できない、親や先生から評価される、または怒られる、などなど・・・・・・ イヤ~ですよね。急に、楽しみが消されてしまいます。あの楽しさを返してくれ~~! です。 子どもだったら、砂遊びや、オママゴトで、「表彰状」されたら、どうでしょう?泥団子つくりコンテスト全国大会なあんて。幼児がやる気起こすと思います? 同じことを、全国の子どもたちに文科省は行っているわけです。そして、全国の親も、はっぱをかけているわけです。 確かに、簡単な単純作業なら、効果があるようです。私から言わせれば、人間的でない作業については。しかし、創造性や、高度な頭脳を使う問題つまり、面白い問題に取り組むときは、弊害の方が大きくなるようです。 やはり、学習は、学習それ自体を楽しむように指導していくのが一番です。 だって、本当の学習って、楽しいんですよ。ゲームより、よっぽど、のめり込みます。それが学問です。遊び以上の遊びです。 これには、まず、指導者である大人の先入観をぶっ壊さなければなりませんね。先生はじめ、大人は、勉強はつらいもの、忍耐が必要なもの、社会からご褒美や、罰が来る、とっても重要で、深刻なものという風に、思いこんでいるんですから。