はてなのゆりさん

　

前　略

雪国 会津にとって、春の訪れは
何よりも 心待たれる季節でした。

冷たく凍りついた会津が、春風と
ともに 少しずつ とけはじめ‥

虫たちはゴソゴソと動きだし
木々は 芽吹きはじめ‥

春の光の中で、生きとし生ける
　すべてのものが活動を開始します。



だから、春は一番 好きな季節でした。

でも、今年は 別でした。

待っていた春風は、放射能を運んで来ては
空と 水と 土を 汚染し続けています。

山から 毎年 少しずつ拾ってきた
木の葉で 腐葉土を作り、農薬も

化学肥料も 除草剤も 使わず、安心
安全な 野菜を作って 楽しんできた、

わが家の 小さな畑も、見えない
　悪魔に汚染され続けております。



老後の生きがいも 平穏な日常も
一瞬にして奪った 原発が

憎らしくて 憎らしくて テレビに
向かって 吠えております。

「想定外で ありまして‥｣

≪ 何 言ってんの！　こっちは
　想定して反対してきたよ！！≫

「すぐには健康に 影響ないわけで‥｣

≪ だったら、出荷停止だの、
　摂取規制だの、すんなって！！≫

「原発収束に ６～９ヵ月‥」

≪ 本気で思ってんの？ なら
やってごらんよ！≫

なにしろ、原発は安全だと言い続けてきた
人たちが言っていることですから、もう何を
言っても 信用できるわけが ありません。



ある友が、福島第一原発から 半径３０Ｋに引かれた
地図上の線を≪【死の国】の境界線≫と呼びました。

その【死の国】から逃れて来た人たちは、いつ
自分の家に帰れるのか、あてもないまま、
絶望の中で 避難生活を続けています。

半径１００Ｋの会津も、決して
安全だとは言い切れません。



原発をやめにするには、私たちは まだまだ
苦しまなければ ならないのでしょうか。

あと、どのくらい 地獄に落ちれば
原発は 止まるのでしょうか。

便利さより 平穏な暮らしを
心から願う 毎日‥です。

草々


２０１１．４．２０

会津若松市　　Ａ・Ｓ子より

清水ゆり子 様 へ


追伸　浜岡原発だけでなく、全部の
　　　　原発を止めたい思いです。



その昔、宇宙はてない社の 原発の絵本を
ご注文下さった方からのお便りでした。





【原発のこと】

福島原発の事故 と ヨーロッパ