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発達障害児が伸び伸びと育つために~保健師の目で見た子育て~

まずは、具体的な作戦を立てよう。

診断名をきちんと伝えて、学校とのかかわりを仕切りなおそうと決意した私は、帰宅してまず作戦を考えました。

怒りを伝えたいのではなく、
1)障害に対する理解をしてほしい 
2)障害に基づいた有効な対応をしてほしい
という2点であることを、自分自身に確認しました。そして、そのための有効な手段を考えました。

ただ診断名を正直に伝えても「それがどうした」という受け止められ方になって、握りつぶされてしまうかもしれない。診断名を知らない先生も多いだろう。具体的にお願いしたい対処法を示そう。

そのためには、密室でのやりとりではいけない。
また、どうせ教室以外の場所でもトラブルは起きるのだから、勇気を持って学校中の先生全員に理解していただこう、と思いました。

私が立てた計画のメモは、以下の通りです。

1.怒りを伝えるのではなく、障害を理解し、それに基づいた対応をしてくれることを要求する。(具体例を挙げる)
2.担任の先生だけでなく、教職員全員に理解してもらうようにする。
3.冊子「アスペルガー症候群をしっていますか」を増刷りして、教職員全員に配布していただく。
4.TAKUYAを事例として使った学習会を開いてもらう。
5.障害の知識を得ていただくのに、できる限り専門家の力を借りる
6.学校を非難しない
7.先生方の事情を理解しようとする姿勢を示す
8.来年度は「34人もいて特別な支援はできない」という先生が担任では困ること、対応できる力量のある先生に担任をしてもらいたいことを要求する。
9.どうしても理解していただけなかったら、文部科学省の通達を出して、脅す(かもしれない)

(笑顔の練習、朗らかに話をする練習、感情的にならない練習・・・これも大事です。心に余裕を持って、うまくいっているイメージを作りました。)

これをもって、まず、毎月一回相談に通っている「教育相談センター(教育委員会主催の行政のセンター)」に行き、担当のM先生に相談しました。

M先生は、これまでも私が混乱するたびに事実関係を整理し、適切な指導をしてくれた素晴らしい先生です。
最初、診断名を伝えずに学校の理解を得る方向性を私が出した時は、M先生は反対意見でしたが、私の意志を尊重して見守ってくれていたのです。

M先生はまず、「お母さんがここまで決意するには、よほどのことだったでしょうね」という言葉をかけてくれました。・・・この言葉が本当にうれしかった。なによりもこれまでの辛さを理解してくれている言葉だと思いました。

計画のメモを読んで、良しとし、うちの小学校に専門家を呼んで学習するための予算がまだあることを教えてくれました。そして、学習会の実現へ向けて、講師の選抜等も含めて、根回ししてくださることになりました。

学校との具体的な交渉は、まず担任以外に信頼できる人を作ることが大事です。
それには、校長先生が適役であろうことから、まず校長先生と話し合いをすることに決め、上記の計画内容を伝えました。
その後、校長先生に後押ししてもらって、別日程で、担任・養護教諭・学年主任を対象に同じく話し合いの場を持つことにしたのです。

M先生のような、学校の内輪事情を知った上で、親の立場に立ってくださる人の存在は、貴重です。親を冷静にしてくれるだけでなく、具体的な力になってくれます。
また、診断名を伝えれば分かってくれるはず・・・という甘い考えは捨て、抽象的な要求ではなくて、具体的ですぐに行動に移してもらえるような要求をすることが大事だと思います。

これらが、まずは第一歩でした。

Akiko


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