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発達障害児が伸び伸びと育つために~保健師の目で見た子育て~

過去は教訓を得るためだけにある。

こういう子どもを育てていると、不本意な責められ方をして親の自尊心が傷つくこともしばしばですよね。

責められた時は、ちょっとめげて、「すみません・・・」なんて謝った後で、「どうしてあそこまで言われないといけなかったのだ!」と帰宅してから怒りと悔し涙が止まらなくなることもしばしばでした。
そればかりか、過去の出来事を思い出して、悔しい思いがよみがえってきたり・・・その悔しさに自分が傷ついて疲れたりして・・・・・(苦笑)


「息子の問題行動は、私の育て方のせいではなったのか」と思うと長年の肩の荷が下り、
ようやく混乱から抜けて、子どもを客観的に見ることができるようになった喜びも感じていました。

それに加え、今まで「親の愛情不足だ」とか「しつけが・・・」などと無責任に私を責めた人たちへの怒りが湧いてきたのです。

心の中では「近い将来息子がリタリンを飲み始め、すっかり落ち着いている様子」を空想します。

そして、「どう?私の育て方のせいじゃなかったのよ」と保育園や学校や塾の先生を責め、恨み言を言っている自分の姿を妄想してしまいます。

妄想しているうちに、怒りがこみ上げてきて、「それによってどれほど傷つけられたか、この親の気持ちがわかるの?!」・・・と思わずにいられませんでした。

そして、しばらくすると冷静になります。

落ち着いて考えてみればわかるのです。

「先生方も障害があるということを知らずに、苦しんでいただけなのだ」と言うことが。

でもまた、同じように恨みや怒りが湧いては、消え、湧いては消え・・・・・。

将来への不安や、また過去の出来事への怒り。
これらを鎮めるには時間が要りました。

そんな頃、たまたま道で保育園のI先生に再会しました。
I先生の言葉には、かなり苦しめられていました。

先生に会ったら「ああ言ってやろう、こう言ってやろう」と思っていたはずなのに、お顔を見ると「先生も一緒に我が子のために苦しんでくれていたのだ」と思い、戦友のような気がしてきて、文句が言えなくなったのです。

そして、「その後どうしてるの?」とたずねてくれた先生に、感謝の気持ちが湧いてきました。
気がつくと、心素直に「ADHDの疑いがあるから、相談に行き始めていて、今度受診もするんです」とお話ししていました。

「あんなことを言われて、辛かったんですよ」とは結局言わずに別れ、そんな気持ちが萎えてきました。

そして、先生方に障害について知ってもらい、これからの保育に役立ててもらいたい・・・と、思えるようになりました。

怒りや恨みが解けると、人の役に立ちたいという願いが湧いてきます。
これは、自分にとって幸せな感覚でした。
こういう子を育てている甲斐があると感じる、第一歩でした。


子育てに色々苦労した結果、周囲に反発し、「誰も理解してくれなかった」と心を閉ざすのでは、苦労した甲斐がなくなると思います。
多くの発達障害を持つ子どもたちのために、周囲の理解を得ることと協力者を増やすことが、親の仕事・・・。

もう過去にはこだわらない。


過去は、教訓を得るためだけにあるんだ。

もう過去のことで心を乱したり、被害者意識に浸ったり、心を閉ざしたりするのは、努力して避けよう。
自分の心を見つめて、心を開いて先生方と話ができる自分であり続けようと、その時思いました。

大事なのは、自分の心を見つめて、自分の心をコントロールすることです。

悔しさと怒りを引きずって心を閉ざす方向に進むか、
心を開いて協力者を増やし、子どもを伸ばしていくか・・・

心のコントロールを誤ってはいけないと思います。

Akiko




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