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音楽雑記帳+ クラシック・ジャズ・吹奏楽

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bunakishike

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2012年11月20日
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カテゴリ:ジャズ


ルイ・アームストロングがボストンのシンフォニー・ホールで行ったコンサートの実況録音が、65周年記念として再発されました。
個人的にはスイングはほとんど聞かないのですが、ふとした偶然からこのアルバムがコンプリート版で発売されることを知り、購入しました。
このアルバムはジャズ史上とても有名で、私も知識としては知っていました。
しかし、今まで聴いたことはありませんでした。
退屈するかと思ったのですが、聴いてみると悪くないです。
最近音楽のスタイルに対して寛容に(いい加減ともいう)なったせいか、やかましいことは確かですが、結構楽しめました。
しかし、これが1947年の録音で、その当時すでにバップが台頭していて、スイングとバップが共存していたなんて、知識としては知っていても感覚的にはまるで理解できませんでした。
何しろ、パーカーがサヴォイやダイヤルで録音を残していた時代です。
当時はスイングが全盛ですから、当時の方たちの感覚は我々の感覚とはまるで違っていたのは当然です。
サッチモのMCがほぼ完全に入っているので、当夜の雰囲気がよくわかります。
メンツはすごいです。
ジャック・ティーガーデンのトロンボーンとヴォーカル、バーニー・ビガードのクラリネット、そしてサッチモのトランペットの3管編成。
そしてドラムはシドニー・カートレットで演奏が悪いはずはありません。
前半良かったのは、トロンボーンとクラリネットで、トランペットは少し影が薄い感じでしたが、後半になるとトランペットが活躍し、終わり頃になると、今までのプレイはなんだったのかと思うほど輝いています。
ライブにしては、個々の奏者をフィーチャーするお遊びトラックがあまりないのは好ましいです。
ヴォーカルのヴェルマ・ミドルトンは声量があり、発音がはっきりしています。
それに癖のない歌唱で、現代でも通用するスタイルです。
ブックレットの写真を見ると、彼女は出番でない時はピアノの横に座っています。
アルバムは30ページほどのブックレットとCDが一緒になった、最近はやっている紙製の豪華な作りで、ファンの物欲をくすぐります。
基の音源はテープと思いますが、実況録音とはいえ、意外といい音で収録されています。
管やベース、ドラムスはよく聞こえるのですが、肝心のピアノがあまり聞こえないのは物足りません。
時折、スクラッチノイズの聞こえるトラックもあります。
ブックレットによると、スクラッチノイズの音楽はアセテート盤での再生、音がいい方がテープ録音のようです。
ディーラーによる、ニュースリリースによると、
「2回のショーのオープニングのチューニングからクロージング・テーマまでCD2枚に完全収録。
サッチモの2回公演が完全な形で残っている音源は珍しく、アセテート盤やアナログ・テープの音源が根気強い再生作業によってその全貌がついに甦ることになった。」だそうです。
まあ、完全にしたかったのはわかりますし、関係者の努力と資料的意義も理解できますが、音の悪いものまで総動員しているのはどうかなと思ってしまいます。
アセテート盤の音が悪いのはしょうがないにしても、スクラッチノイズはデジタル処理で何とかならなかったのかと思います。
また、いくら欠落部分を補うためとはいえ、テープとアセテート盤の音をつなげるというのはどうかと思います。
個人的には、テープ録音の音が鮮明なので、欠落部分はそのままの方がすっきりします。
拍手の時にゴーという低い音が鳴っています。
最初、家の洗濯機でも動いているのかと思いましたが、このアルバムから出ている音です。
どうやら聴衆の足踏みのようで、当時の聴衆の熱狂的な姿がしのばれます。
故油井正一氏の「ジャズの歴史物語」によると、サッチモのアルバムについて、こう書いています。
『戦後のサッチモのレコードを聴いていたのでは真の偉大さが分からない。
『タウン・ホール・コンサート』(ビクター)、『シンフォニー・ホール』(デッカ)、『プレイズ・W. C. ハンディ』(CBS)は戦後としてはいい出来だが、ジャズ史をゆるがすような作品ではない。』
出典:http://jazz.fukao.info/page/13
手元にあるこの本を見てみたら、サッチモの偉大さに触れている部分があります。

(以下要約)

『サッチモがなぜえらいのか。
ジャズが芸術であると信ずるファンにとっては、芸人的なサッチモのコンサートに行ったことは耐え難い屈辱として記憶されるかもしれない。
ところがアームストロング自身の見解は全く反対なのだ。
彼は、ジャズは大衆芸能の一つと思っているのにもかかわらず、芸術といわれるジャズを作ったのが当のアームストロングなのだ。
この矛盾に見える論理を理解しないと、ジャズはあなたのものにならない。』

私も後期の録音を聴いている限り、何故偉大なのかさっぱりわかりませんでした。
今回のアルバムを聞いてもそれほど考えは変わりません。
やはり、1920年代の録音を聞かねばと思うのです。

油井氏も、『続けて、音の悪さを我慢して5日くらい年代順に彼のレコードを聴いていけば、「ああなるほど。これは大変な男だ」と納得できるようになる。
ただし、それだけでは十分でない。
その時代のミュージシャンのレコードを比較すると、サッチモの図抜けた天才ぶりがより一層はっきりするよくわかる。』
と書いています。

この考え方は、よく言われる「歴史を現代の尺度で解釈するな」と同じであることに気が付きました。
油井氏も書いていますが、ジャズの演奏では歴史的な背景をよく踏まえないと、誤った判断を下すことになる、ということは肝に銘じなければなりません。
もしかすると、今回の出来事は個人的にはメルクマールだったことを、後で思い出すような気がします。
今回のアルバムが意外に抵抗感がなかったので、そのうち古い1920年代の代表作を音の悪さを我慢して、聴いてみたいと思います。
もしかしたら、私の考え方が一変するかもしれません。
なお、このアルバムはできるだけ大音量で聞くことをお勧めします。


Satchmo At Symphony Hall 65th Anniversary(Verve B1600891-02)


DISC1:

01.Introduction/Tune Up
02.When It's Sleepy Time Down South
03.Louis Introduces Musicians
04.Muskrat Ramble
05.(What Did I Do To Be So) Black And Blue
06.Royal Garden Blues
07.Lover
08.Stars Fell On Alabama
09.I Cried For You
10.Since I Fell For You
11.Tea For Two
12.Body And Soul
13.Back O'Town Blues
14.Steak Face
15.I Gotta Right To Sing The Blues (Closing Theme)

DISC2:

01.When It's Sleepy Time Down South
02.Mahogany Hall Stomp
03.On The Sunny Side Of The Street
04.High Society
05.St. James Infirmary
06.Baby Won't You Please Come Home
07.Velma's Blues
08.That's My Desire
09.C Jam Blues
10.Barney Bigard Introduces Arvell Shaw
11.How High The Moon
12.Mop Mop
13.Jack Armstrong Blues
14.I Gotta Right To Sing The Blues (Closing Theme)

Recorded November 30,1947 at Symphony Hall,Boston,MA





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Last updated  2021年03月13日 10時38分13秒
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