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bunakishike
折に触れて聞いた音楽の感想をだらだらと書いています。
音源は主に海外サイトからダウンロードしたハイレゾで、その他観たコンサートや映画などの感想を綴っています。
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久しぶりに神尾真由子のアルバムを購入した。
アンコール集なので、あまり買う気にはならなかったのだが、レコ芸の新譜情報としてかなり評価が高かったのと、近くのショップのポイントが貯まっていることから買ってしまった。
結論を言えば、かなり満足した。
ハイフェッツの小品集は聴いたことがないのだが、なにか |
ハイフェッツの演奏を聴いているような雰囲気がある。
技巧は殆ど完璧で、バイオリンの響きや細かいヴィブラートなどがハイフェッツを感じさせるのだ。
そういう印象を受けたのはハイフェッツの編曲が多いことや、古い時代の人たちの編曲が殆んどなことも原因の一つだ。
少し、古めかしいが懐かしい味が感じられる、そんなアルバムだ。
ただ、フレージングはきっちりしているので、昔の人たちのような崩れた演奏にはなっていない。
最初聴いたときには、ずいぶんと低音を強調しているなあと思った。
ところが何回も聴いているうちに、一面的な聞き方だったことに気がついた。
それは従来のお気楽なアンコール集とは対極にあるような、曲に対する真摯な姿勢と気迫を感じるようになったからだ。
音楽家なら、技術を多少なりともひけらかしたいという気持ちがあるものだが、聴き手に媚びるところは皆無で潔い。
少し息苦しさを感じるにしても彼女の姿勢はとても尊いものだと思う。
ヴァイオリンのアンコール集では定番のクライスラー編曲もグルックの「メロディ」しか取り上げられていない。
彼女はクライスラーのウイーン的な表現の本質が理解できていないので、あえて外したのだそうだ。
この曲を聞く限り充分に魅力的な演奏だと思うのだが。。。
全曲どのナンバーもきわめて水準が高い。
フレージングも作為的なところをほとんど感じさせない。
唯一パラディスの「シチリア―ノ」で弱くするところが少し気になったくらいだ。
「剣の舞」や「熊蜂は飛ぶ」、「蜜蜂」などの難曲も確かに良いのだが、個人的には抒情的な曲に惹かれた。
その中でも「ヴォカリーズ」が心に染み入る名演。
「夢のあとに」もいい。
抒情的だが明るい色彩の「愛のあいさつ」やチャイコフスキーの「メロディー」も悪くない。
異色なのは「エストレリータ」。
清々しさと艶めかしさが共存した何とも不思議な味わいがある。
シューベルトの「アヴェ・マリア」やメトネルの「おとぎ話」はダブルストップの妙技が艶めかしく魅力的だ。
ボーナストラックの「官兵衛紀行」は大河ドラマ「黒田官兵衛」の最後に出てくる官兵衛ゆかりの地を訪ねる映像のバックで流れる音楽。
実際に彼女が番組で演奏した縁から取り上げられている。
名田綾子による編曲は格調高く、厳しさの中から叙情がにじみ出来るような音楽で、しみじみとした味わいがある。
夫君でもあるミロスラフ・クルティシェフの伴奏はツボを押さえた立派なもの。
単なる伴奏の枠を超えて積極的にヴァイオリンを引っ張っていく場面もあり、見事なサポートぶりだ。
実演で聴いたときも感じたが、こんなところでと思うようなところで出てくる意外性が魅力的な音楽家だ。
ということで、小品集と鼻で笑っている諸兄には是非お聴き頂きたい。
裏切られること間違いないですから
愛のあいさつ＆夢のあとに 神尾真由子 (RCA SICC 1614～5)
1. 剣の舞い (バレエ「ガイーヌ」より)
2. 夢のあとに 作品7の1
3. 妖精の踊り 作品25
4. レンスキーのアリア「青春は遠く過ぎ去り」 (歌劇「エフゲニー・オネーギン」より)
5. 熊蜂は飛ぶ (歌劇「サルタン皇帝の物語」より)
6. 愛のあいさつ 作品12
7. ヴォカリーズ 作品34の14
8. 行進曲 (歌劇「3つのオレンジへの恋より」)
9. アヴェ・マリア
10. 我が母の教え給いし歌 作品55の4
11. エストレリータ(小さな星)
12. ホラ・スタッカート
13. 4つの前奏曲 前奏曲 作品34の10
14. 4つの前奏曲 前奏曲 作品34の15
15. 4つの前奏曲 前奏曲 作品34の16
16. 4つの前奏曲 前奏曲 作品34の24
17. メロディ
18. シチリアーノ
19. おとぎ話 変ロ短調 作品20の1
20. メロディ 変ホ長調 作品42の3 (なつかしい土地の思い出、第3曲)
21. ひな菊 作品38の3
22. ロマンス 作品97aの8 (映画音楽「馬あぶ」作品97より)
23. 悲しみのワルツ
24. 蜜蜂 作品13の9 (12のバガテルより)
25. インドの歌 (歌劇「サトコ」より)
26. 官兵衛紀行 (ヴァイオリン&ピアノ・ヴァージョン) (大河ドラマ「軍師官兵衛」より) (世界初録音)
ディスク：2
1. メイキング・オヴ・ヴァイオリン・アンコール
2. 愛のあいさつ 作品12
3. 夢のあとに 作品7の1
4. チャールダーシュ
神尾真由子(vn)
ミロスラフ・クルティシェフ(p)
録音 ２０１４年８月１１日～１４日、ベルリン、b-sharpスタジオ
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Last updated
2014年10月28日 22時03分31秒
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