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bunakishike
折に触れて聞いた音楽の感想をだらだらと書いています。
音源は主に海外サイトからダウンロードしたハイレゾで、その他観たコンサートや映画などの感想を綴っています。
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アムランの新作が出ているのを知ったのは、一か月ほど前。
速攻でゲットして、それ以来何回も聴いているが、全部ながら聞き。
なので、全曲集中して聴いているわけではない。
おまけに二枚組なので、なかなか考えがまとまらなかった。
その後内田光子の演奏をまとめてリッピングしている中に、モーツァルトも含んでいたので、アムランと比較するために一通り聴いてみた。
比較対象としてはとしては少し古い感じがする。
ピリスあたりがふさわしいのだろうが、あいにく所有していない。
まず、大きな発見だったのは、モーツァルトといえどもテクニックが優れている方がいいということだ。
技術的には難しくないのだから、テクニックに優劣でそれほど大きな差は出ないだろうと思っていたのだが、おおきな間違いだった。
テクニックがあると、音楽がはるかに安定する。
アムランの音楽を聴いてから内田の演奏を聴くと、ところどころ傷があることに気がつく。
昔内田の演奏を聴いていたときは、そんな細かいところでの不安定さは気がつかなかった。
アムランによって耳が開かれたのかもしれない。
それから、内田に聞かれる力の入った部分もあざとく感じてしまった。
奇を衒ったという言葉がある。
アムランの演奏はその言葉から最も離れた位置にあるのではないだろうか。
アムランを聴いてから内田を聴くと、古臭く感じてしまうのだ。
テンポは中庸から少し早めの設定で、インテンポが基本。
そのため停滞感がなく、爽やかな印象がする。
ところどころでわずかにアゴーギグを効かせるところがあるがそれも控えめだ。
K.283第一楽章の主題の5小節目を少し遅れ気味に弾いているところは他のピアニストでは聴かれず、おっと思わせる。
驚かされるのは音色の多彩さ。
色というよりも音の形、言い換えれば音の肌触りの多彩さが抜きんでている。
ある時はキャラメルの柔らかさを連想してしまい、びっくりしてしまった。
時には滴を思わせる球の形をしていたり、曲ごとにタッチやペダルを変えて、曲にふさわしい音を作っている。
そのため、音の多彩さだけに注目しても、とても楽しめる。
ポピュラーなK545も弾き飛ばすこともなく、よく考えられた表情付けがアムランの誠実なアプローチを物語っていて、他の演奏では味わえない楽しみが得られる。
もちろんk332のアレグロなどの速いパッセージでの音の立ち上がりの良さは、アムランでなくてはならない爽快感を感じる。
わたしはモーツァルトの演奏をそれほど聞いているわけではないが、この演奏こそ初めてモーツァルトのピアノソナタを聞くのにふさわしい演奏ではないかと思い始めている。
緩徐楽章など、ピニストによっては、じとっと暗くなってしまう曲も、雑味のない演奏が楽しめる。
最初に聴いた演奏が聴き手の基準になることを考えると、アムランの演奏でモーツァルトのピアノソナタをを聴かれた方は、ある意味とても幸運だろう。
ここで取り上げられた曲はあまり目立たない曲もあるが、退屈だと思う曲がなかったのは、アムランのテクニックと誠実なアプローチがモノを言っているのだろう。
アムランといえば超絶技巧の必要な秘曲ばかり取り上げる、ちょっと変わったピアニストというイメージだったが、最近のハイドン、ドビュッシーなどの演奏で、少しは認知されてきたのかもしれない。
アムラン・フリークとしては、これほど嬉しいことはない。
ということで、ピアノを愛する人たちばかりでなく、広くクラシック・ファンに聴いてもらいたい、アムランの大傑作。
続編をおおいに期待したい。
Marc-Andre Hamelin:Morzart Piano Sonstas( hyperion CDA68029)
CD1:
1.Piano Sonata in D major K576
4.Piano Sonata in G major K283
7.Piano Sonata in F major K332
10.Piano Sonata in B flat major K570
13.Rondo in D major K485
14.Gigue in G major K574
CD2:
1.Piano Sonata in C major K330
4.Piano Sonata in B flat major K333
7.Piano Sonata in C major K545
10.Piano Sonata in E flat major K282 [13'10]
11.Rondo in A minor K511
12.Fantasia in D minor K397
Marc-Andre Hamelin(p)
Recorded at The Henry Wood Hall,London,UK July 2013
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Last updated
2019年11月30日 05時53分36秒
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