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カテゴリ:クラシック音楽
ミヒャエル・ギーレンのブルックナーの交響曲集がバジェット・プライスで出たので購入した。 彼のマーラーは以前から印象が良く、ブルックナーもと思ったのがキッカケだ。 1,2,8,9の4曲が初出で、単独で持っている方にとっても、アピール度が高い。 変に重ったるくならないところがギーレンの演奏では好きなところだが、ブルックナーでも昔ながらの重々しいところがなく、気持ちがいい。 サウンドは重いがハーモニーが分厚く鈍重なところがないのはいい。 8番は第1稿の演奏だろうか。 耳慣れないフレーズやサウンドが聞こえてくる。 テンポは全体に遅め。 最近の主流である洗練された表現と透明感のあるサウンドは聞かれない。 ギーレンはそういう傾向には興味がなさそうだ。 自分の思ったように演奏しているのだろうが、聞き手には、ぶっきらぼうに聞こえる。 昔の田舎臭さの漂うブルックナーの演奏を聴いているような気分になる。 そういう意味では希少価値があるかもしれないが、今の私の趣味には全く合わない。 ある特定の楽器がむき出しで出てくる所など、単に解釈やバランスだけでの問題ではないように思える。 第4楽章は時々どぎつい表現もあるが、一番まともな楽章。 ハース版での演奏(1990)が評判がいいらしいので、この解釈はいったいどうしたのかと思ったほどだ。 機会があったら是非聞いてみたいものだ。 8番以外は、ニュートラルな表現で問題ない。 第9番はこの全集の中で最も新しい2013年録音。 ここでも普段聞こえてこない声部が聞こえてきたりするが、概ね許容範囲内だ。 バランスはちょっと金管優勢なのが不満だ。 第3楽章のコーダでは音量をあまり落とさないで終わっているが、このアプローチはなかなか新鮮だ。 音量を落として終わると、これで曲が終わりと思ってしまうが、このアプローチだと、4楽章に続くのように感じられ、ブルックナーの考え方にあっていると思うからだ。 他の曲同様、決然とした演奏ぶりのティンパニが目立っている。 その演奏ぶりには、恐れ入りましたと頭を下げてしまいそうだ。 テンポ設定も普通で、この全集の中では1,2を争う出来だと思う。 第5番は普遍的な名演。 第4楽章第2主題が少し速くて驚くが、最も抵抗の少ない演奏の一つだろう。 第7番はかなり古い部類の録音だ。 テンポが速く、一時間以内に収まってしまう。 すっきりしているが、個人的には少し速すぎる気がする 全部を聞いたわけではないが、押しなべて凹凸が少なく、全集として水準は高いと思う それに、いろいろな版を演奏していて、その点でも興味は尽きない。 ウイーン版の第1番も他の演奏で聴いている筈なのだが、この版の面白さが押しつけがましくなく伝わって来て、ワクワクする。 今回の演奏を悪く言っているつもりはないが、もう少し精度の高いオケとの録音だったらと時折思ってしまう。 録音は1968年から2013年と40年以上の期間に渡っていて、古い録音はさすがにざらつき気味だが、最新録音に比べてもそれほど遜色がない。 演奏の明晰さが効いているのかもしれない。 Michael Gielen: Bruckner Symphonies(SWR music SWR19014CD) SWR Sifonieorchester Baden-Baden und Freiburg(1,3-9) Runfunk-Sinfonieorchester Saarbrucken Michael Gielen(cond) Recorded 1968-2013 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2021年11月12日 20時40分45秒
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