釈尊の生誕と出家(6)
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☆夜中の出家 祝宴が続くカプラブァストゥの王宮にくらしていたゴータマ・シッダールタは、 ある夜、出家することを決意します。 ここから先は話の関係上、ゴータマと呼ぶことにします。 そして足の速い御者のチャンナを真夜中に起こし、愛馬のカンタカを連れてこさせました。 ゴータマは愛馬カンタカに乗って王宮を抜け出し、東を目指して進んでいったのです。 明け方にアノーマー河のほとりに到着したゴータマは そこで自分の身に着けていた宝物(ほうもつ)をチャンナに渡し、 愛馬カンタカを王宮に戻すように告げると、 修行者の生活に入っていきました。 朝になって太子の失踪を知った王宮では大騒ぎです。 そこへチャンナが帰ってきましたが、御者と愛馬の姿しか見えないので、 父王と義母と妃たちは嘆き悲しんだのでした。 ☆苦行者の森 父王は太子の安全を願い、太子の身の周りの世話をさせようとして、 護衛の兵士を5人選び、太子の後を追わせました。 つまりゴータマは最初からまったく孤立して修行に入ったわけ ではなかったのですね。見張りをつけられたわけです。 ゴータマはまず苦行者たちの森を訪ねました。 それは、当時のインドでは伝統的に苦行によって悟りを得ようとする人が 数多くいたからです。 苦行ってどんなものだか想像できるでしょうか? 火の中をくぐったり、水中で座禅したり、逆立ちしたままでいたり、 刃物で体を傷つけたり、針を全身に突き刺したり、 毒蛇のいる林で座禅してみたり、目を開けたままでいたり、 手を上にあげたままでいたり、土の中に埋まってみたり、 いろいろなことを苦行者たちは行っていたのでした。 ☆アーラーラ・カーラーマ仙人 しかし、そこでは悟りを得ることはできないと知ると、 ゴータマはマガダ国のヴァイシャーリーに行くことにしました。 師を求めることを捨てるまでに1年もかからなかったようです。 マガタ国のヴァイシャーリーでは、名高いアーラーラ・カーラーマ仙人が 300人の弟子を連れて精神統一を主とした修行を行っていて、 ゴータマはこの仙人に学んで悟りを得る修行をしようとしました。 ゴータマが自らの内に法理を求める修行に専念するようになってからは 凛とした修行者としての風格も出てきていたようです。 苦行とアーラーラ・カーラーマ仙人の詳細については次回の第7話に出てきます。 ☆ビンビサーラ王との出会い 遍歴の途中でゴータマはマガダ国のラージャグリハに辿りつきました。 あるとき、托鉢のためにその町を歩くゴータマの姿をビンビサーラ王が見かけたのです。 「なんと気高い修行者であろう。あの方は普通の人ではないはずだ!」 ビンビサーラ王はゴータマに近づいて尋ねました。 「気高い修行者よ!あなたの容姿と気品から見て、 クシャトリヤ出身の方のようにお見受けします。 あなたはどちらの生まれですか?」 クシャトリヤっていうのはインドの四姓制度の中でバラモンに次ぐ武士階級のことですね。 ゴータマは答えました。 「私はコーサラ国の釈迦族の出身です」 「あなたは若く美しい。これから人生が始まるところです。 あなたに私の持ち物を何でもあげましょう。 あなたに私の持つ象軍と財力をあげましょう。 欲しいものは何でもあげましょう。どうぞ、受け取ってください。 そして、私を助けてください!」 「王よ!私は欲望を叶えるために出家したのではないのです。 人生の真実を悟り、心の平安を得るために出家したのです。 私はもはや世俗の欲望には喜びを見出しません!」 これを聞いたビンビサーラ王は、合掌して言いました。 「あなたが真理を悟られた日には、どうか私に その教えをお与えくださいますように・・・」 ゴータマは王と約束をして、その場を立ち去りました。 この世的な欲望を滅却しようと修行してしたゴータマにとって、、 金銀財宝などはもはや何の価値も持たないものだったのですね。 ・・・釈尊の生誕と出家(7)へつづく・・・ ☆。.:*:・'゚★。.:*:・'゚☆。.:*:☆。.:*:・'゚★。.:*:・'゚☆。.:*:・'゚★。.:*:・' ジャンル別一覧
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