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2012年02月06日 楽天プロフィール Add to Google XML

4/4 葵にて
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●10年、早ければ……

時刻は、午後9時を、少し回った。
ワイフは相変わらず、DVDを見ている。
聞き慣れない言葉である。
ドイツ語のようでもあるが、ドイツ語でもない。
「No」という意味で、「ネイ」と言っている。

雰囲気からして、オランダの映画?
北欧の映画?
よくわからない。
……というか、この世界には、私の知らないことのほうが、多すぎる。
だからときどき、こう思う。
気がつくのが、もう10年、早ければよかった、と。
10年早ければ、もっと新しいことを知ることができた、と。

 が、今は、ちがう。
脳みその働きそのものが、鈍くなってきた。
片端(かたっぱし)から新しいことを知り、同時に、片端から忘れていく。
これではいつになっても、前に進むことができない。
このはがゆさ。
このもどかしさ。

 DVDの主人公たちは、私たち日本人がもっている価値観と、まったく異質な価値観をもっている。
それを知るためには、彼らとともに生活しなければならない。
苦楽を共にしなければならない。

 反対の立場で考えてみると、それがよくわかる。
たとえば「家・意識」。
アメリカ人やオーストラリア人に、日本人がもつ「家・意識」を説明しても、理解できない。
彼らがそれを知るためには、また理解するためには、日本に住み、日本人といっしょに生活しなければならない。

●知的優越感

 知的優越感というのは、確かにある。
私も、ある時期、それを強く感じた。
「私は、君たちの知らない世界を知っている」と。

が、今はそれも色あせ、老後の中で、ごちゃ混ぜになってしまった。
ただその一方で、私から見ると、化石のような人に出会うことは、多くなった。
その人が「化石」というのではない。
私の中に残っている「化石」そのままだから、「化石のような人」という。

 少し入り組んだ話になるが、許してほしい。

 若いときに(外の世界)へ出た人と、反対に、生まれも育ちも、そしてそれ以後も、ずっと(内の世界)に住んでいる人がいる。
(外の世界)へ出た人には、(内の世界)がよく見える。
が、ずっと(内の世界)に住んでいた人には、当然のことながら、(外の世界)がわからない。
わからないまま、(内の世界)を基準にして、ものを考える。
(外の世界)を想像したりする。

 こう書くと、(内の世界)に住んでいる人は、こう反論するかもしれない。
「外国のことはよく知っている」「ときどき外国へ旅行する」「テレビでもよく紹介されるから、それを見ている」と。

 しかし(外の世界)を知るということと、観光客として、外国を訪れるということの間には、天と地ほどの開きがある。
(外の世界)の人だって、観光客には、自分たちの世界を見せない。
さらに中には、私にこう言う人もいる。
「君は、外国かぶれしている」と。

●化石

 そこで私自身を振り返ってみる。
もし私があのまま日本の会社に入り、そのまま60歳を迎えていたら、私はどうなったか、と。
「あのまま」というのは、99・9%の日本人がそうであったように、(外の世界)を知らないまま、日本だけに住み、日本の中で生活をしていたら、という意味である。
が、これについては、何も、想像力を働かせなくてもよい。
そういう人を、あなたの周辺から探してみれば、それでよい。
探して、そういう人が、どういうものの考え方をしているかを、知ればよい。
つまり、それが(あのままの私)ということになる。

 が、最近は、そういう人たちが、私には、「自分自身の化石」に見えるようになった。
先に「化石のような人」と書いたのは、そういう意味。
「過去の自分のまま」という意味で、そう言う。

で、私と彼らはちがう……というのは、あくまでも結果論にすぎない。
ここでいう「化石」というのは、私自身の内部で、核になっている「私」を意味する。
固くて、心の中で石のようになっている。
だから「化石」。

●因習

 もう少し具体的に話そう。

 私は子どものころ、学校が休みになると、決まって母の実家のある田舎で過ごした。
そこには、古い因習が、ぎっしりと詰まっていた。
そこはまさに、(情の世界)。
すべてが「情」を中心に動いている。
(だからといって、因習や情を否定しているわけではない。誤解のないように!)

 しかしそれが因習とわかったのは、ずっと後になってからのこと。
30代、40代になってからのこと。
が、もし私があのまま(外の世界)を知らないでいたら、私自身が因習を因習とも気づかないまま、私はそれをそのまま踏襲していただろう。
事実、そのあたりにそれ以後も住み、そこで暮らした人たちは、そっくりそのまま因習を踏襲している。

●智に働けば……

 が、ここでいつも、厚い壁にぶち当たる。
そういう化石のような人たちに出会うと、(けっしてそういう人たちが、「下」とか、そういうことを書いているのではない。誤解のないように)、言いようのない無力感を覚える。
あまりにも遠くに住んでいて、どこからどう説明したらよいのか、わからなくなる。
実際には、不可能。
つまり私を理解するのは、不可能。
だから私のほうが、先に引いてしまう。
引いて、私のほうが、彼らに合わせる。

 「そうですね」「そのとおりです」と。

 が、それはむずかしいことではない。
私の中にある「化石」を、そのまま引き出せばよい。
ちょうど机の引き出しから、古い本を取り出すように、だ。
あとはその化石を見ながら、相手に合わせていけばよい。

 ところで夏目漱石は、『草枕』の冒頭で、こう述べている。

『智に働けば角が立つ。情に棹(さお)させば流される』と。

 理性だけを主張していると、他人との衝突がふえる。
しかし相手の情に同調していると、自分を見失ってしまう、と。

 たしかにそうだ。
相手に合わせるのは、むずかしいことではないが、いつも後味が悪い。
いや~な気分になる。

●01月04日

 今日は1月4日。
時刻は午前8時30分。
西浦駅に向かうバスが、9時に出るという。
今、そのバスを待っている。

 まぶしいばかりの白光。
昨夜は遅くまで波の音が聞こえたが、今は、それもない。
窓の外の波を見ると、岸のほうから太平洋側に向かって、動いている。
今日も、北風。
寒い1日に、なりそう。

 そうそう、昨日、オーストラリアのB君からメールが届いた。
南オーストラリア州では、ここ2日ほど、気温が41度を超えているという。
41度!

 もっともオーストラリアでは、空気がカラカラに乾燥しているから、41度といっても、日陰に入れば、涼しさを感ずる。
夜も寝苦しいということはない。
が、心配なのは、ブッシュ・ファイア(山火事)。
大平原が、それこそ関東平野分ほど、燃えたりする。
それが気圧の移動とともに、あちこちを燃やし尽くす。
それがこわい。

●旅の終わり

 あわただしいが、これで旅行記はおしまい。
西浦温泉、たつき別館、『葵』にて。
2012年の英気を、ここで養う。

 はやし浩司・晃子
はやし浩司 2012-01-04

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【3】(近ごろ、あれこれ)□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

休みます。


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最終更新日  2012年02月06日 10時13分48秒




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