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佐野洋子さんが亡くなった後に発見された原稿をまとめた『私の息子はサルだった 』読了。
![]() 丸ごと1冊息子さんのことについて書かれています。 あとがきはその息子さんこと広瀬弦さんが書いているのですが、佐野洋子さんが自分自身のことをネタに文章を書くのがイヤである日「書かないでくれ」と伝えたそうです。 その理由が内容がかなり盛っていて、自分の本来の姿ではないこと。 また文章を読んだ読者から、自分以上に自分のことを知っているという違和感を抱いたからとありました。 確かに当事者側からするとそうだろうなぁと思うところもあるのですが、親というのは、我が子のことをある程度美化したフィルターを持ってみていると思います。 本書を読むと、そのフィルターがあるからこその、息子さん、いや男の子の面白い言動が手に取るように分かり、腹の底から笑えたりします。 そして、仮に話を盛っていたとしても、保育園の頃から中学生までの息子さんの大きくなっていく過程というのが本書からはよく見えて、貴重な成長記録のようにも思えます。 作家だからこその視点と、流れるような文章。 かつ母親としても微妙な心の動き。 おそらく息子さんから拒否されたことにより、こっそりと書くことになったこの文章は更に親としての寂しさも感じ取れたりします。 あとがきでは、大人になった今、息子さんとしてはどうにでもなれという心情が吐露されていますが、この原稿を手にしたことによる親の無償の愛に気づいたのかもしれません。 佐野洋子さんに共感し、息子広瀬弦さんにも共感できる、なかなか稀有な文章のように思えました。 ![]() にほんブログ村 (↑ ポチッと押していただけたら嬉しいです) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016年05月22日 15時35分28秒
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