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カテゴリ:喫茶店・カフェ
ひと昔前までは、大抵の駅の近くには喫茶店があったモノだ。ハンバーガーショップや1杯180円のコーヒーショップが増えるにつれ、喫茶店はドンドン消えていった。
以前は「1杯400~500円のコーヒーを出す喫茶店より、180円のコーヒーショップの方がいい。もっと増えないかなぁ」と思っていた私だが、年を重ねるとともに考え方が変わってきた。やっぱ喫茶店は必要だよ。 値段じゃないんだよね。落ち着ける場所ってのは、あった方がいい。黙って新聞を読んだり、雑誌や本を読んだりできるだけでもいい。お店の人と世間話とかができるようになれば、なおいい。考えてみれば昔はそういう喫茶店が多かった気がする。 学生時代、アルバイト先の社員さんに連れられ、よく昼飯を一緒に食べたことがある。安い定食屋を知っている人で、600円ぐらいでランチを済ませ、その後は必ずお気に入りの喫茶店に寄っていた。ゆっくり話ができるのはいいのだが、腹いっぱいになる定食屋のランチが600円なのに対して、喫茶店のコーヒー1杯が400円というのが、当時20歳そこそこの私には値段的に納得がいかなかった。 でも今なら、なぜその社員さんが喫茶店に必ず寄っていたのかわかる気がする。なじみの店員さんやマスターがいて、一言二言、言葉を交わす……こういう何気ないコミュニケーションが、気持ちを癒すし、ストレスを取り除いてくれるんだと思う。 前置きが長くなったが、今回紹介するのは、そんなくつろげる喫茶店だ。店名は「朋」。萩山駅北口に2007年5月7日にオープンしたというコミュニティ・カフェだ。 場所は萩山駅北口を出て右側にある路地をそのまま進み、道なりに左に曲がる。真っ直ぐ進むと遊歩道に出るのだが、それをそのまま通り越して進むと、左側に「フラワーショップ かねこ」という緑の看板が見える。そこがコミュニティ・カフェ「朋」だ。 表にはこんな張り紙があった。手作りケーキのアップルとニンジンが100円で、チーズケーキとシフォンケーキが200円? ちょっとちょっと、安過ぎじゃないの? 店内はとってもこぢんまりしている。テーブルが3卓しかなく、10人も入ればいっぱいになっちゃうくらい。 私は手作りケーキのアップルとコーヒーを頼んだ。 これで300円。300円ですよ! コーヒーは注文から豆を挽いて淹れてくれるし、しかも使う水は井戸水だっていうこだわりよう。それでいてケーキとセットで300円だからね。文句なしに「激安」でしょう。 アップルケーキはしっとりとし食感で、シナモンの香りがする。旨いなぁ。本当にこれ、100円でいいの? 余計なお世話かもしれないけど、もっとお金を取った方がいいんじゃないの?……店員さんにそう話すと、こんな答えが返ってきた。 「もともとは寝たきりじゃない独り暮らしのお年寄りに外出してもらおうと思って始めたんです。そういうお年寄りの方の家に行った時、『昨日は誰とも話をしなかった』なんてことを聞いたりしたから、誰かと話せる場所をつくろうと思ったのがキッカケです。そりゃ儲けがあるといいけど、値段を高くして、そのために独り暮らしのお年寄りが月に1回しか来られないとしたら、値段を安くして毎週1回来てもらう方がいいじゃないですか。そのために開いたお店ですから」 なるほど。それで「コミュニティ・カフェ」なんだ。じゃあ、このお店はそういう独り暮らしのお年寄り専門の喫茶店なの? 「そんなことないですよ。普通の人にもドンドン来て欲しいと思ってます。いきなりは無理でしょうけど、そうやってお年寄りの方とのコミュニケーションの輪が広がればうれしいですよね」 コーヒーを飲み終えたら、お茶を出してくれた。煎茶を挽いて粉状にしたモノらしく、何だか抹茶っぽくて旨い。いいお店だなぁ。 お店の趣旨も共感できるし、何とか繁盛して欲しいんだけど、お店の人によると「平均すると1日10人来る程度」なのだとか。萩山駅周辺にはもともと喫茶店っぽいお店はなかったから、貴重な存在。どうすれば繁盛するだろうか? 看板を代えれば、もっとわかりやすくてお客さんも来ると思うのだが、「それはお金がかかるからできない」のだという。うーん、となれば、やっぱり口コミしかないか。 萩山駅周辺の人、遊歩道を散歩する人、ぜひ寄ってみてください。気持ち的にも懐的にもホッとできますよ。 【DATA】 住所:東村山市萩山町2-8-28 電話:042-397-0428 営業時間:午後1時~7時 定休日:日曜、祝日 ★お店や料理に関する記述は、訪問時における管理人・マサ本人の主観によるものであり、誰が行っても同じ印象を抱くとは限りません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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