親や周りにできること

おんぷ壁紙ここでは、私達ADHD児を持つ親や、その周りができることについて書いていこうと思います。

1.乱暴なふるまい、感情的なふるまいをふやさないためには


親は冷静な態度を崩さない。

どんな行動をよしとするかについては、その場になって急に言い渡すことがないように、前もって決め、話し合っておく。どうふるまうべきか? わが家のルールは? 今から行く場所では、どんな事態が予測されるだろう? 何か問題があったとき、うちの子の力量なら、どの程度の対応ができるだろう? 立派にふるまえた場合、ごほうびは与えるか与えないか? 与えるなら、どんなごほうびにしようか? 何でも早め早めに準備しておくこと。

子どもがよくない行動をした場合は、クリアでわかりやすい罰を与えること。罰は常に一定不変、守備一貫させること。

やりとりのペースを落とし、雰囲気を緊迫させないよう、こちらの出かたをコントロールしよう。あくまでもくつろいだ態度を保ち、子どもをおびやかさないようにこころがける。視線をはずさない、声を一段低くしてみる、(触ってもだいじょうぶそうな場合のみ)やさしく腕に触れる、「あわてているんだね」「腹が立っちゃうんだね」とその子どもの状態を言葉で表現し、フィードバックしてやる、もっといい解決法を一緒に工夫しようと誘ってみるなどの方法がある。

一つの視点にこり固まらない。親の発想が柔軟だと、状況がエスカレートしにくい。もっといい行動をするにはどうしたらいいか、本人にも考えさせ、意見を聞こう。

好ましい行動が少しでも見られたら(たとえば、何も言われないのに自分から上着をハンガーにかけたら)、機会をのがさずほめる。


2.ADHDをこじらせないために


子どもにむかって、無神経な言動は厳禁。軽蔑しない。拒否しない。虐待しない。

人格を否定するような言い方をくり返さない。たとえば、「本当に何をやらせてもダメなんだな。これじゃあ誰にも遊んでもらえないのも無理ないよ」などという口癖は直すこと。

体罰は避ける。言葉で罵るのもやめる。

子どもがどんなことをしているか、何を好み、楽しんでいるか、日頃から目を配る。両親はぼくのことなんか興味がないんだ、応援してくれないんだという思いは、反社会的行動の芽を育てることになりやすい。

親自身が何か問題にぶつかったときや、誰かと衝突したとき、息子に見られていることを忘れない。たとえば、薬やアルコールにたよりすぎる、しょっちゅう声を荒げてばかりいる。ちょっとしたことですぐキレる、自分の殻に閉じこもる、家族に暴力をふるうなど、子どもに見習われて困るような癖は改めること。


3.子どもが感情的になっているとき、エスカレートさせないためには


ADHDのある子には、感情をことばで説明するのがへたな子が多い。感情が激しくなればなおさらだ。説明どころか、しまっておくことさえ難しくなる。だから、困った形であふれ出してしまう。あるいは、理由はささいなことなのに、本人の感情は不釣り合いに激しいこともある。そんなとき、父親が手を貸して、バランスをとり戻させてやることができる。子どもの感情を、代わりにことばで表現して、フィードバックしてやるのだ。たとえば、「今のおまえは『ダメ』って言われるのがよっぽどつらいみたいだねえ」とだけ言って、感情の強烈さについてはあえて無視する。相手がカッカしているときは、こちらの声は静かに、態度も控えめに。

子どもと話し合うタイミングは、こちらが話したいときよりも、向こうのペースを優先する。子どもが何か言いたそうに近寄ってきたら、自分の気分はどうあれ、聞いてやること。ADHDの子どもたちの場合、その場では思わず爆発したり、逆らったりするが、すぐに「しまった」と気づいて、あわてて釈明しにくることが少なくない。たとえ親はまだ怒りがおさまっていなくても、そこはがまんして聞く。そうすることで、子どもには「ぼくも本当はいい子にしていたいのを、父さんは信じてくれてるんだ」というメッセージが伝わるのだ。

子どものふるまいに腹が立ったら、正直に認め、ことばで表現してしまえばいい。「お前のそのやりかたは不愉快だ」「そういうふるまいは許すわけにいかない」「やめないならタイムアウトだぞ」とはっきり伝えてしまうのだ。こうすることで、親の側は爆発を避けられる。子どもにとっても、何をどこまでやれば許されないのかをはっきり示してもらえることになり、理解が楽になる。

罰を与える前には、できるだけこまめに警告を与えること。そうすれば、子どもにも、「父さんのがまんももうじき限界だな」とはっきりわかる。それに、カッとならないよう自分なりに工夫している父の姿を目にすることもできる。

花風社 「自分で自分をもてあましている君へ あきらめないよ、ADHDの君の将来」より抜粋。花風社には承諾済み。


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