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一か月に一度の通院日。
行きの車の中から、父は「今日は寄り道するか」と私に探りを入れてきた。 11月に痙攣を起こして足が不自由になってから、パチスロのパの字も言わなかった父なので、 遊ぶ気力が戻ってきたかと私は嬉しくなった。 その日の朝、家の中で少しふらついていたということだったので、病院では車椅子を使用。 大きな病院のB1階、7階、2階とかなりの移動距離だったので、無理に歩かせなくて良かったと思った。 おかげで力を温存した父は、パチスロを堪能。 だが、店に入ってから2時間を過ぎた頃、父は体に力が入らなくなり、椅子に座っていることが出来なくなった。 私は父の体を支え、慌てて店を出る。 その間、優しい人達にたくさん出逢う。 お客として外から来て、自動ドアを押えて「ゆっくりでいいですよ」と言ってくれた若いお兄さん。 「看板をどかしましょうね」と言って、ブロック塀に座りやすくしてくれたたこ焼き屋のおじさん。 傍から見ると、ふらふらなのにパチスロなんてやって…と思われそうな状態なのに、皆、親切だった。 予想通り、母には怒られた。 母は毎日、献身的に父の介護を行っている。 「ダメじゃない、パチスロなんてやってちゃ」 疲れることをすると痙攣を引き起こすので怒るのも当然だ。 でも私はあえて反論。 「リハビリだよ」 私は父に楽しく生きて欲しいのだ。 やりたいと思うことには勝手に気力が湧く。 体も動く。 実際、リハビリになっていると思う。 それに、パチスロを自粛したところで痙攣が起きないとは限らない。 ただでさえ、体が不自由になったことでストレスの塊になっている。 だから、楽しめるうちに遊んでもらいたいのだ。 楽しめるうち。 楽しめなくなる日は誰にでも来る。 無難な毎日を過ごすか、多少の無茶でもやりたいことをやるか。 人それぞれの価値観だが、私は後者を選ぶ。 父もそう考えていると思う。 │<< 前へ │次へ >> │一覧 │コメントを書く │ 一番上に戻る │ |