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2024年01月29日
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カテゴリ:BLUE PROTOCOL
「ぐおおおおおぉぉぉ・・ぉぉ・・ぉぉ・・・」
バハマール高原中にその雄たけびは響き渡った。

輝く緑色の体毛に覆われた巨躯、その体と同じくらい巨大な角・・・眼光が睨む先には、盾を構える羽流がいた。
羽流「何でここにこいつが・・・、いや、それよりどうする!?わたし一人ならやつの攻撃を躱しながら戦うこともできるけど・・・。」

そう呟きながらちらりと後ろに目をやる。

そこには大量の血液を地面に染み込ませながら倒れているShaRaLaと、
それを懸命に介抱するAliceの姿があった。

ShaRaLa「あ・・・羽流・・に・げ・・・」
今にも消え入りそうな意識の中で羽流に呼び掛けていた。

Alice「もう喋るな、ShaRaLa!」
羽流「Alice!すぐに【チャット】でみんなに知らせて!そんなに長く持たない!」
Alice「もうやってるよ、羽流姐!誰も応答しないんだよぉ!」
羽流「とにかく続けて!きっと助けは来るから!」

そうこうしてるうちにその魔物は二度目の突撃体制に入る。
羽流「くっ・・・もうやるしかない!わたしが守る!!誰も死なせはしない!!!」
羽流は全身の気を盾を持つ左手に集中させ、右手の剣を地面に突き立てる。
3人をエンハンスサークルの結界が包み込んだ。

 ・
 ・
 ・

-----------遡ること数時間前。チーム『群青恋華』の会議室。

ShaRaLaも羽流もいつもより少し緊張した面持ちでいた。
羽流「羽流、ShaRaLa、入ります。」
ドアを開けると中央にサブリーダーのしぶき、隣にAosoraが立っており、
部屋に入ったすぐ脇には先に到着していたAliceとNaokaがいた。

しぶき「揃ったな。では、本日開拓局から届いた依頼について説明をする。」
羽流「あの・・リーダーは・・・?」
しぶき「リーダーは自身の研鑽のため、天恵の聖堂に篭りきりだ。」
Alice「あれー?リーダーならさっきエステに入っていくの見たけど?」

Aosoraがしかめっ面をしながらこちらに目配せしてきたが手遅れであった。
眉間にしわを寄せたしぶきの手が震え、持っていた資料の一部が折れ曲がっているが見て取れた。

しぶき「・・・あの人にはあとで私からしっかり話をしておく。」
一同「(あちゃー、終わったな)」

しぶき「ふぅ」
大きく深呼吸をした後、しぶきは続けた。
しぶき「では、依頼内容を説明する。」
Aosoraがメンバーに資料を配る。
しぶき「見ての通りだ。最近バハマール高原で『カイザーエルク』の群れが暴れまわってるらしい。すでにラルパルの守衛たちや行商人が襲われ、死傷者が出ているとのことだ。原因についてだが・・・」
しぶきがAosoraのほうに目をやる。
Aosora「この情報は開拓局の研究員のなんて言いましたっけ?ゴブリンたちの言葉を研究してる人がいたでしょう?彼の研究が功を奏してほかの魔物たちの言葉や行動原理があるい程度だけどわかるようになったの。」
Naoka「はえー、すごいんだねー。僕もうその人のところに弟子入りしちゃおうかなー?魔物とお話ができるなんて素敵だなー。」
Alice「いやいやいやいや、Naokaの頭じゃ無理っしょ?w」
Naoka「えー?おバカさんの癖にどの口がそんなこと言うのかなー?w」
Alice「お前こそ『群青恋華』のおバカさん枠じゃなかったの?ww」
Naoka「誰がそんなこと言ってるのかなー?教えてー、おバカさん?www」


一瞬だがAliceがちらりと羽流のほうを見た気がした。

しぶき「オホン!」
咳払いで静まった部屋にAosoraが続けた。
Aosora「今回の騒動の原因だけど、昨年末の聖夜に出現した魔物たちのことは覚えている?『雪かぶりのボア』たちとその頭目『雪化粧の獣』ね。彼らは【運営神】のお導きでこの時期になると各地に出現して聖夜を彩ってくれる存在なの。」
羽流「それと今回の件にどんな関係が・・・?」
Aosora「ん、先日ラルパルで『カイザーエルク』たちの首領である『炎角』の強烈な咆哮が観測されたの。開拓局では何かが起きる前兆として例の研究員に解析を依頼したのね。そして出た結果が・・・。」

『聖夜なのになんでイノシシなのか!我々に赤い鼻でもつければもっとふさわしいではないか!!【運営神】は阿呆なのか!!!』

またしかめっ面をしながら
Aosora「つまり、ヤキモチの憂さ晴らしに、暴れまわってるらしい、ということね。」
羽流「・・・はぁ。」
Alice「・・・大迷惑なだけじゃん。」
Naoka「あか~いおっはなの~♪」

歌いだしたNaokaを遮ってShaRaLaが口を開いた。
ShaRaLa「んと、経緯はどうであれ今回は『カイザーエルク』とその首領の『炎角』の駆逐ないし討伐ってことでいいんだよね?」
しぶき「そうだ。ただ奴らの生息地は神の見守る丘とさらに奥地のフィエル嶺水池に分布している。また奥地に行けば行くほど強力な個体も出てくる。さらに言えば嶺水池には『炎角』よりも厄介な奴の目撃情報もあるな。」
ShaRaLa「みんなで順番に行くの?ここにいるのはちょうど6人だけど。」
しぶき「いや、今回は二手に分かれよう。神の見守る丘は羽流を班長としてAliceとShaRaLa、フィエル嶺水池にはこの私とAosora、Naokaで向かう。既に他のチームも動いている。後れを取るわけにはいかない。」
羽流「承知しました。準備ができ次第出発します。」
しぶき「格下相手にも決して油断をするな。異常事態が発生したらすぐに【チャット】で知らせろ。以上だ。」

会議室を出ると前を歩いていた羽流が振り返りShaRaLaの手を取って、
羽流「一緒だね。がんばろう。Aliceもよろしくね。」
ShaRaLa「うん。」
Alice「おう、任された!」

いつもの優しい笑顔がそこにあった。
(続く





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最終更新日  2024年01月31日 02時48分33秒
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