カテゴリ:お山に雨が降りまして
植木等は、日本が産み出したスーパーマンだった。 彼の全盛時代を懐かしいと思う人は、すでに少ないかもしれないが抜けるように青い空が日本の未来と重なっていた時代に本音で生きて、やりたいことが必ずやれるという力強いエネルギー波動をスクリーンから観客である我々に送り続け絶大な支持を得た。歴代総理大臣のいかなる人物よりも、60年代植木等こそ遥かに大衆の圧倒的支持を受けたと思う。 東宝の女優で、小学生時代の自分がおきにいりだった浜美枝がかならず同伴して不動のマドンナだったのが心地良かった。 親鸞は父母の孝養のためとて、一返にても念仏申したること、いまだ候はず。そのゆゑは、一切の有情はみなもつて世々生々の父母・兄弟なり。いづれもいづれも、この順次生に仏に成りてたすけ候ふべきなり。わがちからにてはげむ善にても候はばこそ、念仏を回向して父母をもたすけ候はめ。ただ自力をすてて、いそぎ浄土のさとりをひらきなば、六道・四生のあひだ、いづれの業苦にしづめりとも、神通方便をもつて、まづ有縁を度すべきなりと云々。 『歎異抄』 母親は、なにか事あるごとに親戚の誰れそれに世話になった、感謝せよと言う。いわば感謝の強要を繰り返し述べるのだが、自分からすればこの世に生を受け他者に世話にならぬなどという事は絶対にありえない。われわれは、好むと好まずにかかわらず他者の圧倒的なお世話さまによって生きている。 とりわけ、植木から被ったエネルギーは自分の人生の中でも有数の感謝で応えねばならないほどのものだったと思う。いかなる近親者よりも、それは透徹したものだったと思う。彼のおかげで、人生を悲観して過ごすことを無為だと断じることが可能になった。 冥福を祈りたい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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