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カフェ・ヒラカワ店主軽薄

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2006.11.21
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カテゴリ:ヒラカワの日常
大手都市銀行の中間決算が発表され、みずほフィナンシャルグループは、当期利益が前年同期比15.9%増の3923億円と前年に続き過去最高を更新した。
社会の階層化、格差が拡大する中で、金貸しばかりが大儲けってのも釈然としない。
金貸しの極意は、金を必要としない人に貸し付けることだそうである。
俺も経験があるが、ほんと、当座の金が喉から手が出るほど欲しいというときには、銀行は相手にしてくれないものである。
その場合には、連結子会社にサラ金があるので、そちらへどうぞということになる。
なかなかうまい商売である。リスク分散、マーケティングともに申し分ない。
結果、金を本当に必要な人たちは、高利で借りることを余儀なくされるので、借りれば借りるほど自分の首を絞めることになる。格差社会の中では、借金はただ破滅を先延ばしするための手段でしかないわけである。

「都市銀行の利益といっても、俺たちの利息を掠め取っているだけじゃないか」と嘆く人が多いかも知れない。ただ、この度の都市銀行の利益の中身を見てみると、貸し出し利息による収益は縮小しており、利益の多くは国債や債権の売却益によるものらしいので、上述の「民衆の嘆き」は必ずしも当たってはいない。グローバリズムの進展の中で、金融テクニックを駆使して儲けた金である。バンカーズの不人情を恨んでもしょうがないのである。かれらとて、国際金融市場で切った張ったの闘争をしている。
裏を返せば、貧乏人からはしぼるだけしぼってしまえば、もう用はないといったところで、
もやは、貧乏人はマーケットの中で相手にされていないといったほうがよい。

でもさ、この格差の拡大も、環境の破壊も、人情の溶解も、自殺の増加も、みんなで多数決で、経済発展を最優先とするという、強者生存のスローガンを選択した結果なのであるから、いまさら文句を言ってもはじまらない。
先日の沖縄知事選においても、県民は自民党・公明党の推す仲井真氏の経済振興を選択したのである。
朝日新聞によれば、激戦を制したのは「経済振興」の訴えだった。事実上の一騎打ちとなった19日投開票の沖縄県知事選。争点の米軍普天間飛行場移設問題をめぐり、初当選した与党側の前県商工会議所連合会長仲井真弘多(なかいま・ひろかず)氏(67)は県内移設を進める政府と協調して産業活性化などを図る考えを打ち出し、敗れた野党側の前参院議員糸数慶子(いとかず・けいこ)氏(59)は県内移設反対の立場を鮮明にした。2人の「基地観」はまったく異なるが、票差は大きくない。揺れ続ける沖縄の民意が表れた。

経済振興と基地の移設問題の二者択一なんて、もともと争点にならない不合理な選択問題なので、これは野党政治家の力量の不足という他はないのだが、仮に合理的な選択にもっていっても、現下の日本人は同じような選択をするような気がする。
合理的な選択とは、たとえば経済振興と経済均衡のどちらを選ぶかといった問題である。
つまり「開発を促進し、企業を
誘致し、失業率を下げる」経済振興を進めるべきか、あるいは経済成長という考え方を捨てて「自然と共生する貧しいが食うには困らない南の島を目指す」のかという選択があったはずである。

しかし、いまこのように合理的な問題を立てたとしても、日本全体の意向としては間違いなく経済成長の方を選択するだろう。経済成長神話への信憑は、与党野党を問わず根深く浸透しているし、一般の人々もまた、経済成長の恩恵を捨て難いと感じているだろうからである。
でも、この選択は肝心なことを忘れている。経済振興は、それが実現しないうちはただの掛け声であり、実現したときは大きな代償をともなうということである。
しかし、たとえそれが海に汚水をたれながし、ヤンバルの森を破壊することになろうとも、成長という希望の言葉を選択してしまうのが日本人である。

地域の価値を高めるために、経済的な優位性を確保する。そのために、開発を進め、産業を誘致する。はたして、この考え方は地域価値増大のための賢明な選択であると言えるだろうか。私にはそうは思えない。沖縄が、いまから産業化を進めるといったところで、すでに本土に対してハンディキャップを負わされている。こういう場合、日本の中に南北問題を持ち込むような結果になる可能性がある。経済発展とは、企業による利潤追求の別名であり、利潤とは限りない差異の発見、差異の創出に他ならず、安い地代、安い労働力、まだ汚れていない環境の供給の場として、沖縄は経済面でも本土のわりを食う結果になる可能性を否定できない。
反対に、経済発展の文脈から意識的に外れたところに活路を見出せば、日本全体から失われつつある自然資源は、日本の市場化がすすめば進むほど大きな魅力となり、地域全体の価値を上げることに貢献するようになる。破壊を止めれば本土とは相対的に地域の価値が上がってくるのである。

本土とは異なる歴史をもち、豊かな自然自然資源のなかに浮かぶ島として、沖縄を考え直して見る。それは意味のあることだ。
それはまた、このまま人口減少が進み、アジアの覇権といった政治的なテーマから脱落した、極東の島国日本のパイロットモデルでもあるかもしれない。

だが、そのように考えている人間は大変少ないようである。






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最終更新日  2006.11.21 16:21:47
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