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カテゴリ:★★★★★な本
日本の社会に未来はあるのか? ニート、請負労働者、ホスト、バックパッカー……。〈自分探し〉の果て、下流社会を漂流し続ける若者たち。記憶を失くした青年は、ゼロからの〈自分探し〉=新しい〈自己創造〉の旅に出る。桐野夏生が新境地に挑んだ最新長編小説。 <感想> ★★★★★ 本書は桐野夏生さんの最新刊。 ハードカバー600頁、税込み2,100円に尻込みしていましたが、イッキ読みし ちまいました。 記憶喪失の主人公ギンジが、沖縄で似た境遇の若者ジェイクと出会うとこ ろからはじまります。 主人公はナニモノなのか?という謎を含みながらロード ムービー風に展開していく前半は、主人公のギンジとジェイクとの掛け合いを 通じて、現代の若者の気質のようなものを炙り出しています。 後半は、ギンジが沖縄にたどり着くまでが明らかにされていきます。 小説として読むなら、前半に圧倒的な巧さを感じますが、現代の若者がおかれ た現状や、少しづつ社会から疎外されて行く過程がテーマになっている後半 も読み応えがあります。 団塊、しらけ、新人類、団塊Jr・・・ 「今の若い奴らは・・」という常套句があります。 新人類と呼ばれたバブル 世代の私は、上の世代の人たちからそんなコトをよく言われたし、まったくそ の通りだったりするわけですが、ここ数年社会の入り口に立たされた世代にそ の言葉が当てはまるようには思いません。 若者の姿はその時々の社会を色 濃く反映しているものです。 『グロテスク』がベストだと感じる私にとって桐野作品の魅力は、いつ爆発す るかわからない毒を内に秘めたキャラクターと、それらを容赦なく描く潔さで す。 それと比較すると若干の迫力不足は否めませんが、ある世代を根こそぎ 破壊つくそうとする社会に対するアンチテーゼを強く感じました。 桐野ファンはもちろん「今の若い奴らは・・」などと感じているオトナの方に、 読んでもらいたい一冊です。 余談ですが、タイトルを見た奥さんがひとこと・・・ やっぱ気にしてるんだぁ~ だから・・メタボリックじゃないつーの!! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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