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カテゴリ:★★★★★な本
政治家の犯罪。それは私が最も嫌悪するものだった―。三十代の若さで衆議院議員に当選した私は、秘書給与詐取事件で突然足元を掬われる。逮捕、そしてまさかの実刑判決。服役した私の仕事は、障害を持った同囚たちの介助役だった。汚物まみれの凄惨な現場でひたすら働く獄中の日々の中、見えてきた刑務所の実情、福祉行政への課題とは。壮絶なる真実の手記。新潮ドキュメント賞受賞。 <感想> ★★★★★ 著者は「みちのくひとり旅」じゃない方の山本譲司さんです。 秘書給与詐欺事件で実刑判決を受けた元国会議員といえばご記憶の方も 多いと思います。 さて、事件の詳細についてはリンクをご覧いただくとして、本書は著者が服 役中に経験した事実をノンフィクションとして書いた後半と、政治家を志して 逮捕されるまでを書いた前半に分けられます。 実刑判決後、黒羽刑務所に収監された著者は障害を持つ受刑者の介助役 を命じられます。 障害を持つ受刑者はどのように扱われているのか?彼ら の発する言葉や現場の刑務官達、そして受刑者である自分自身が日々感じ たこと。 多少の誇張やデフォルメがあることを踏まえても、今まで描かれる ことのなかった塀の中のさらに奥の様子を生々しく描いた本書は読み応えと いう点ではピカイチです。 当然ながら著者の訴えも読者の心にストレートに 響いてきます。 しかし、本書の核は、30代で政治家となった典型的なエリートである著者が、 違法行為に手を染め、その事実が発覚して逮捕、服役、そして釈放に至るま での心の葛藤や鬩ぎあいが正直にかつ真摯に描かれている点にあると思い ます。 政治家、話題になった事件の当事者という著者の略歴から、下品な暴露本 や、事件に関するいいわけじみた内容をイメージしていた私は、その先入観 を見事に覆されました。 普段なら決して手に取らないだろうと思われる本書 を読むきっかけを与えてくれたリンク先の読子さんに感謝します。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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