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テーマ:お勧めの本(7210)
カテゴリ:★★★★★な本
東京の文教地区の街で出会った5人の母親。育児を通してしだいに心を許しあうが、いつしかその関係性は変容していた。あの人たちと離れればいい。なぜ私を置いてゆくの。そうだ、終わらせなきゃ。心の声は幾重にもせめぎあい、壊れた日々の亀裂へと追い詰められていゆく。凄みある筆致であぶりだした母親たちの深い孤独と痛み。著者母子小説の衝撃作! <感想> ★★★★★ 本書は角田光代さんの最新刊です。 あらすじを読むとお分かりいただけると思いますが、99年に発生した音羽 幼女殺人事件がモチーフになっています。 当初、お受験が犯行の引き金 になったとマスコミで騒がれましたが、裁判の過程で被害者の母親と加害 者の人間関係の延長線上で生じた事件であることが明らかになりました。 本書ではそれを踏まえて5人のママ友を中心にストーリーが展開していきま す。 女性の負の部分を描かせれば右に出るものはいない。 そんな角田 さんだけあって、ドロドロ模様の描き方はハンパではありません。 とにかく 怖くて、その壮絶さは、私自身男に生まれてきたホントにヨカッタ!!と感じ てしまうほどのものでした。 『八日目の蝉』を読んだときに、前半部分において桐野夏生さんに似たもの を感じましたが、さらにその傾向が強まっているように思います。 しかし、 本書は単に女性同士のドロドロを描いた作品ではありません。 都会の希 薄な人間関係の中で孤立しがちな母と子。 不安の中で押しつぶされそうに なる若い母親の姿を見事に描き出しています。 ズルかったり、痛かったり する登場人物の言動を一概に非難できないと感じさせるのは、この点がしっ かり描かれているせいだと思います。 彼女(彼女たち)はなぜそのようになってしまったのか?という視点で読 むとこの作品のテーマがはっきり見えてきます。 とは言うものの読んでいるとかなり消耗してしまうので、ドロドロ系が苦手だ という方にはオススメしません。 ただ、専業主婦なんて気楽でいいよな・・ などと思われている男性の方はお読みになってみてください。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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