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テーマ:お勧めの本(7204)
カテゴリ:★★★★★な本
父から「悪の欠片」として育てられることになった僕は、「邪」の家系を絶つため父の殺害を決意する。それは、すべて屋敷に引き取られた養女・香織のためだった。十数年後、顔を変え、他人の身分を手に入れた僕は、居場所がわからなくなっていた香織の調査を探偵に依頼する。街ではテログループ「JL」が爆発騒ぎを起こし、政治家を狙った連続殺人事件に発展。僕の周りには刑事がうろつき始める。しかも、香織には過去の繰り返しのように、巨大な悪の影がつきまとっていた。それは、絶ったはずの家系の男だった─。刑事、探偵、テログループ、邪の家系…世界の悪を超えようとする青年の疾走を描く。芥川賞作家が挑む渾身の書き下ろしサスペンス長編。
<感想> ★★★★★ やたら暗くて重い作品が多い芥川賞作家の中村文則さんですが、 近作では少しづつエンタメ方向にシフトしているような印象を受け ます。 本書に関しても万人が好むエンタメ作品とまでは言いませ んが、あらすじにある芥川賞作家が挑む渾身の書き下ろしサスペ ンス長編。は本書を正確に表現しています。 さて、そんなあらすじを読むとカオスな印象を受けるかもしれません が、それほど複雑な展開ではありません。 独特の緊張感とキレの ある文章はサスペンスとの相性もばっちりです。 テンポアップした 筆運びも上滑りすることなく読者を適切に導いていきます。 中村文則さんの近作は「悪」をテーマにしていますが、それもぶれ ることはありません。 端的に言うなら、今までのクオリティーを維 持したエンタメと言ったところです。 この一冊で中村文則さんは大化けしたなどと言うつもりはありませ んが、今まで以上の読者を想定して書かれた作品であることはた しかです。 今までの作風から敬遠していた方を含めて、クオリティ ーの高いエンタメ作品をお読みになりたい方に強くおススメします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011.02.14 01:39:56
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