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カテゴリ:★★★★☆な本
「週に三度、他の男とセックスすることを習慣にして」いる主婦・麻美。彼女の不倫相手が、次々と身体全体に瘤のようなものを作って原因不明の死を遂げる。彼女自身の肉体にも異変が起こる。女同士の憎悪や嫉妬、母娘で繰り返される愛憎劇。一見幸せな主婦の誰にも言えない秘密とは…。 <感想> ★★★★☆ 喩えるなら、リミッターの外れた角田光代。 掟やぶりの桐野夏生。 本書は、私が勝手にドロドロクィーンと認定している真梨幸子さん のデビュー作です。 さて、この作品は第32回メフィスト賞を受賞しています。 講談社が 主催するこの文学賞からは名だたる作家さんたちがデビューしてい るわけですが、私はこの賞の選考基準というのがイマイチ理解でき ません。 受賞作のジャンルがあまりにも多岐にわたるからです。 基本的には面白ければなんでもいいじゃんというノリだと思うんです が、この作品の受賞はそれを裏付けているように思います。 真梨さんの十八番である女性同士のドロドロはもちろん。 エロ、背 徳、バイオホラー、伝奇小説。 そして独特のおどろどろしさ。 個 人的には角田光代と鈴木光司(←新作出てないけど『りんぐ』の人 です)と真藤順丈(←スプラッタ系の人です)と坂東真砂子と横溝正 史をドロドロに煮詰めたような感じです。 まぁ~節操がないといえばそれまでですが、それらを効果的に配分 して構成したのはまぎれもなく真梨幸子という作家で、その手腕は 見事だと思います。 後半は失速気味だというレビューもいくつか拝見しましたが、私は この展開は好きです。 真梨作品を読んでいると、いくつか??? の箇所がありますが、このデビュー作を読むとスッキリするかもし れません。 ドロドロ、エログロということでおススメはいたしませんが、興味本位 で面白い作品を読んでみたいという方なら満足できるかもしれませ ん。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011.06.05 11:00:06
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