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2010年03月04日 楽天プロフィール Add to Google XML

映画「人間失格」感想~☆
[ カテゴリ未分類 ]    

 まず、見始めた時、大楠道代演じるマダムが蓄音機を回し始めるので、なんかビックリ! 
 いきなり「ツイゴイネルワイゼン」へのオマージュかよっ!?

 今回、「剛くんが出る「人間失格」の監督」ということで荒戸源次郎監督の名前を知り、検索して調べたらなんと鈴木清順の「ツイゴイネルワイゼン」のプロデューサーだったと知って、「そういう人だったのか! でもあのころまだずいぶん若かったでしょうに」と驚きました。(若い頃一緒に「ツイゴイネルワイゼン」とか「陽炎座」とかを見た主人も「へえそうなんだー」と驚いてました。)

 てっても、正直、「ツイゴイネルワイゼン」も「陽炎座」も内容をよく憶えて無いんですけど、今回、葉蔵と中也でトンネルに行くでしょう。
 さすがにこの年になると「トンネル=現世と異界の合間」なんだなあとすぐ思ったんですけど、「そうか、ツイゴイネルワイゼンに出てきた「鎌倉の切り通し」っていうのも、そういうことだったんだ…」と30年の時を経て薄ぼんやりと気が付いたという…(^^; 時間かかりすぎや>自分(^^;

 荒戸監督、なんたって自分で「ツイゴイネルワイゼン」を制作したくらいですから、鈴木清順の映画が大好きなんでしょうね~。
 鈴木清順の映画とは比べられないと思いますけど、「人間失格」という小説をよく、まとまった映画に作れたなあということと、「生田斗真くんのファンが見るんだ」ということを終始忘れないで作ってあって、律儀なあったかさのある映画に仕上がっていて、いい映画だと思いました。

 寺島しのぶパートにはかなり時間が割かれて丁寧に描写してあって、ここがいちばんほんとに恋愛してる男女の機微が出てたと思いました。
 あと、小さな事ですが、坂井真紀がしゃべるイントネーションが、昭和30年代までの女優さんみたいな話し方をしていて彼女の芸が細かいと思いました。女優さんのなかで一番のチョイ役なのに、坂井さんの気合いを感じました。(坂井真紀だったと思う。小池栄子じゃなかったよなあ。。と、褒めておきながらいい加減でスミマセン(^^;)
 あ、あと、アネサの馬淵英里可(こういう字だっけ)がリンゴを食べるところのエロいのがとても上手でした。

 小池栄子とか石原さとみとか、生田斗真くんとからんでもおかしくない年齢の女優さんと生田くんはあまりからまず、最後の頃、室井滋とか三田佳子に至ってなんだか濃厚になり、そのふたりが試写会の時、「まさか斗真くんとあんなことになるとは思わなくて…!」「ねーえ!」と言い合っていたのを思い出しました。彼女ら楽しかったんじゃないすか、結構(^^;

 順撮りなのかと思っていたら、パンフを読んだら、中也のシーンは初めがトンネルのシーンだったみたいで。バーのシーンのほうがほんとはあとだったんですね! 監督が言ってた、「(森田くんの)あるセリフを聞いてこれはいけると思った。どのセリフかはわかるように作ってある」という言葉ですが、「茫洋、茫洋」ですよね!? バーのシーンでどのセリフかわからなかったから焦っちゃいました。
 映画本編じゃないんですが、パンフにも写真集にもある、「バー青い花での文士の集合写真」みたいなヤツ、これが私、すごくおもしろくって。文士達がみんなそれっぽく作ってあるのもおもしろいんだけど、堀木だけが後ろでセピア色がかって、異界の人みたいになってるのがおもしろい。
 小説「人間失格」ではきちんとした登場人物である堀木と、「人間失格」には出てこないけど実在した文士達とが、この一瞬だけ立場を変えているんですよね。この一瞬は(葉蔵は太宰としてだけど)実在した人間達のスナップに、実在しない堀木が幽霊みたいに写ってる感じがおもしろい。

 堀木と言えば、伊勢谷くんが健闘していて、いかにも嫌なヤツの「堀木」でよかったと思います。白洲次郎よりよっぽど上手でした。
 なんで堀木がお父さんを嫌ってる設定にしたのかなあ?と疑問に思いましたが、考えると、自分のお父さんを怒鳴りつけるなんてこと葉蔵には絶対できっこないから、それを堀木が軽々としてみせることで葉蔵と堀木の対称性を強めたんだなあと思いました。この解釈に自信あり。
 最後、いよいよ堀木とはこれで最後、というシーンは、もうちょっと堀木の顔のアップの表情とか見たかった気がしたんですが、カメラが割にいつも淡々としてるんですよね。

 最後のテツのシーンは、原作と大幅に変えてありましたが、原作じたい、数行だけどものすごい迫力のところだからねー。変えて良かったのかどうなのか?三田佳子かわいらしすぎじゃねえか? とはいっても、リンゴを食べるようにと言う葉蔵のやさしさとか、裸で寝る二人とか、いろいろ意味ありげで、原作にあるような数行も、実はこんなことだった可能性も大いにあるし、よかったのかな?

 それで、なんだか不思議にこの映画と剛くんの出た舞台「血は立ったまま眠っている」には共通項があって、そのあと汽車が汽笛ポー!!! 通過音がゴオー!!!って鳴ると、なんだか「血は立ったまま眠っている」で子供が「去年の汽車には乗れないだろう!!」って言ってるところがどうしても思い出され、荒戸さんと蜷川さんでなにか相談して作品を作ったんじゃないかという妄想に捕らわれる(笑)。

 最後の汽車のシーンでまた中也が現れるというので楽しみにしてましたが、やっぱりここ、おもしろいシーンでしたね!
 最初、汽車の中で葉蔵は軍人に囲まれて座っているんだけど、これが、ただの軍人とか戦争を表す人たちじゃないんだよね。「五族協和がどうとか」とか「日中戦争をやってる場合ではない」とか言ってたと思うのですが、あの人達ただの軍人じゃなくて、二・二六事件を起こしたような皇道派の軍人というイメージがしたなー。鈴木清順の映画「けんかえれじい」で最後に主人公が二・二六事件と遭遇するところがあったと思うんだけど、なんかそれと関係してるんじゃないかな?という気がした。
 そのあと、登場人物達がわさっと出てくるところ、桜の枝(かな? 剛くんはそう言ってた)を持って「茫洋、茫洋」と言いながら出てくる中也もかっこよく(監督の指示に心が揺れまくっていたとは全く気づかせず)、ここまで映画を見てきたサービスシーンでもあり、いろいろ感慨も湧いておもしろかった。なんか、中也って必ず花と一緒なんだよね。

 あと、これは鈴木清順の映画を思い出しながらこの映画の感想を書いていて気が付いたのですが、中也の二回目の登場。古本屋→境内(?)→トンネルのところ。あそこ一連の中也は、あれ、すでに死んでる中也、つまり幽霊の中也じゃないですかね? あそこで花が降ったり花火が降ったりするのを監督も「あの世とこの世の境だから」みたく言ってますが、要するに、この世の葉蔵とあの世の中也が混ざってるからああなったわけじゃないでしょうか?

 なんか、古本屋で中也登場のところで、中也の詩を読む声が聞こえるところから、この声がどっから聞こえるのかはっきりわからないなあとは思ったんですよね。あれは、心中で生き残って生と死の境を見た葉蔵がふと中也の詩集を手に取ったことから中也の霊を呼び出したのじゃないかなあ? 葉蔵と常子と足を結んだ赤い綾取り紐と中也のマフラーの色がかぶるし。
 んで、中也は幽霊だから、花はこの世でないように降り注ぎ、水が滴ると水は火玉と変わってしまい、むろん幽霊の中也は火玉を喰っても平気である、と考えるとかなり自然。いつもマントで手を隠すようにしてるのがすごくアヤシイ。
 そのあと、葉蔵が「青い花」でマダムに中也が死んだことを知らされるシーンがあるけど、そのときマダムが「知らなかったの? 中原さん去年の秋に死んだのよ」みたく言ったと思うんだけど、時間的に中也とトンネルに行ったのが「去年の秋より前」みたいには思えなかったんだよねえ。見てたときは「あれ? そんなに時間が経ってたんだ」と思って流しちゃったんだけど。中也に会ったのは葉蔵だけだし、なんの説明もなかったからそのときはわからなかったけど、葉蔵は「中原さん、あのあとすぐに亡くなってしまったんだ!」とびっくりしたんじゃなくて、「それならぼくが会った中原さんは死んだあとの中原さんだったんだ!」ってびっくりしたのじゃないかなあ。

(今、サイト巡りをして荒戸監督のインタビューを読んできたら、葉蔵と堀木が出会ったのが昭和11年で2.26事件のすぐあとなんだって。だからやっぱり、あの汽車の軍人達って、物語の初めの背景である2.26事件の軍人達を表しているんじゃないかなあ?)

 


Last updated  2010年03月05日 14時46分02秒
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コメント失礼します☆   masashi25さん

ブログ覗かせてもらいましたm(__)m
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いつの間にか常連になってました(笑)(2010年03月12日 19時22分31秒)

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