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モールスキンとめぐる冒険

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2007/07/15
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テーマ:鉄道(21835)
カテゴリ:books
午前中、台風の影響で雨。自転車で出かけることもできないので、中央図書館に出かけた。

「千葉空襲写真パネル展」という企画展を行っていた。パネル自体は千葉市が発行している冊子(ネットでもPDFファイルで読むことができる)の拡大版といった内容だが、参考文献なども自由に読めるようになっている。

その中に鉄道連隊OBによる回想集があった。題名は忘れたが、創立百年を記念して作られたもので、わら半紙を折って、冊子にしたものだった。

ちょうど鉄道連隊について書いたばかりということもあって、パラパラとめくってみた。残念ながら閲覧のみ、コピー不可だった。

ご年配なので、少し文語調。しかも一般の方が書かれているということもあり、決して読みやすくはないのだが、その分、生々しく、興味深かった。

鉄道連隊は日清戦争後にその前身が作られ、1907年10月に連隊に昇格。08年11月に連隊本部と第1大隊が千葉町椿森に置かれた。国内外の鉄道建設を行ったが、一番有名なのは、連合軍による泰緬鉄道の橋爆破を描いた映画「戦場にかける橋」での姿かもしれない。


泰緬鉄道をゆく


DVD 戦場にかける橋 (7/25 発売予定)

この回想録の中で、ある人は、この映画について怒る。

この映画は小説が原作だが、事実よりもフィクションの方が有名になってしまった。この映画では日本人は無能のごとく描かれた。それが無念でならない、と。

確かにこの方の怒りは分かる。

原作者ピエール・ブールは有色人種に捕虜になり、懲罰による屈辱を受けたことが悔しかったようで、その恨みを小説にぶつけたらしい。

映画化にあたっては日本人との友情に似た感情が生まれるとの描写に不満を持ち、後年、SF映画「猿の惑星」で、日本人を猿として描くことで鬱憤を晴らしたという説も。ってことは原作よりは映画の方がマシな描き方のようだ。

ちなみに、「猿の惑星」。チャールトン・ヘストン版はこちら。


猿の惑星

ティム・バートン版はこちら。


<新生 BEST HITS>PLANET OF THE APES[DVDソフト] 猿の惑星

また、英捕虜との思い出を書いたものもあった。なんとなく「戦場のメリークリスマス」を連想する。

同じく泰緬鉄道に従事していた方の話。

捕虜のリーダーに、日本語も少しできて、人なつっこい笑顔を浮かべるイギリス人がいたそうだ。

ある日、身の上話をする。

「貴様の階級は何か?」
「アナタサマサマ、ワタシはスコシスコシ士官ネ」
スコシスコシ士官。つまりは見習い。

徴集された彼は出兵後すぐに捕虜になったという。国に帰れば、士官の階級は保証されているのだという。

筆者も、徴兵された身。職業軍人ではなかった。家に帰れば、普通の男に戻る。敵ながら、親しみを覚えた。

以来、彼は筆者を「レフテナント(中尉)」、筆者は彼を「サマサマ」と呼ぶようになる。出会ったときは、戦況がそれほど緊迫していなく、「元気か?」「大丈夫ね」なんていう会話も日常的に飛び交ったようだ。

ある時、連合軍の空軍による攻撃を受ける。今までにない超低空飛行だ。

筆者は、日本人にはジャングルの中に隠れるよう、捕虜たちには路盤の上でじっと動くなと命令した。

飛行機はジャングルの方へ掃射する。そして、2回目。しかし、3回目の攻撃で突然、違う方向を銃を向けた。そして、4回目の攻撃を終えると、去っていった。

敵機の思わぬ方向転換は、サマサマが機転を効かせて、違う方向を指さしたからだった。筆者を助けたのだ。

筆者はサマサマの人間的な大きさに感服する。本来ならば、逆の行動もあったはず。しかし、この件について、サマサマとは話せなかった。すれ違ったときに以心伝心で通じるものがあったと振り返る。

その後、別の現場で再会したが、戦況は厳しく、捕虜と気楽に会話できるような状況ではなかった。その後のサマサマの行方は知らないが、鉄道連隊というと、真っ先に彼のことを思いだす、と文を締める。

回想録の題材としてはユニーク。普通だったら、戦友との思い出を書くだろう。

「戦場にかける橋」に悔しいと思うのも、真実ならば、敵に友情を覚えるというのも真実なのだ。







去年の日記は?


2006/07/15 3mプール!





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Last updated  2007/07/15 09:30:07 PM
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