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2007.10.11
カテゴリ：ＳＳ系のお題
■和の言葉を題材にして５０のお題
提供元：http://alethea.velvet.jp/wa_50/index.html ２６：鬼 白い糸を引いた蜘蛛の巣が低木と自転車置き場の鉄柵に絡み付いていた。家主の蜘蛛は神経質な性格らしく、目と目の合い間の隙間が狭い。見事な曼荼羅模様の上に昨夜の雨露が浮かんでいた。 学校のチャイムの音が真昼の空に響き渡る。校舎に駆け込むことはせず授業時間に待ち合わせを設定した男の登場を待った。皆が校舎へと引き込んだ今、辺りは静かだった。静けさに紛れて神妙な顔つきの男はやって来る。学生服の肩はすぼんでいた、生気よりも死臭のただようその気配は男の心が病んでいる証拠でもあった。 「どうした、何か嫌なことでもまたあったの？」 口角の下がった口元からは聞き飽きた弱音が洩れる。 悩みがあるのなら何でも聞くよ、と手懐けたのは自分のほうだった。すがりつかれる下半身の重さは足枷ともなる。優しい顔をし続けていたのは外面を守るためだった。保護してくれる存在だと勘違いされては困る。 冬の雨より冷たい冷酷な言葉を告げる。 蜘蛛の糸は絡み付いて離れはしない、甘い言葉は気を引きつけておく為の策略でしかない。目の前の顔がみるみるうちに歪むのを、憐れと感じつつも楽しげに見ていた。 －－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－－ 唐突に掌編作品を書きたくなって、久し振りにお題に挑戦してみました。 「鬼」なんていうお題を与えられて、この密がハッピーエンドで終わる物を書けるわけがない（笑）たっぷりと毒を込めてみました。テーマとしては「どんな人の心にも鬼はいる」というものです。最初に蜘蛛の巣がイメージに浮かんできたんですよね、次々と浮かんでくるイメージや言葉を合わせていったら、こんな感じになりました。糸にからまった男に甘い言葉をかけながら近づく主人公、そうとは気づかず翻弄される男って感じなのかも？ 相変わらず人物の特定はしていません、主人公が男なのか女なのか想像はご自由に。 なんだか最近、想像力が貧困になっている気がしてなりません。もっと色々と体験しなくちゃね…。本館HPのTOPにも同じものをUPしてあります。自分自身でも驚くほどに久し振りのUPでした（苦笑）月日はいつの間にか、こんなにも流れている。 また書きます。 ちなみに邪魔くさかったので本館のカウンター外しました。 エコノトハ https://www.ecotonoha.com/index.html メッセージが100件書き込まれるたびに、オーストラリア・カンガルー島に、ユーカリの樹などが植林されます。    ■□■□■□■□■PR□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
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Last updated
2007.10.11 00:05:44
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