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2007.04.11
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カテゴリ:ビジネスブログ
ヒット商品応援団日記No157(毎週2回更新)  2007.4.11.

便利さを追求していくことは決して悪いことではないが、「スイッチ族」と呼ばれるように全てが指一つで快適な生活が送れることによって失ったものもある。その最大なものが五感の喪失である。五感は外の世界を感知する、視覚、聴覚、触覚、味覚、臭覚、の5つを一般的には指し示す言葉である。少し前に「無菌社会」というテーマで書いたが、極論ではあるが「無感社会」になりつつあるように思えて仕方が無い。無感こそが快適であると、人が本来持っている「野生」を無くしているように思える。

外の世界を感知する五感の内、脳が反応する70%近くが視覚であると言われているが、この数十年一番変わったのが「明るさ」である。私は商業施設のリニューアルを数多く見て来たが、常に照度はアップし、鮮度の基本は照度であるかのように言われて来た。そして、コンビニやドンキホーテのように24時間化は日常となった。つまり、昼と夜の境目が無くなったということである。朝らしい朝、昼らしい昼、夜らしい夜、勿論季節らしい季節も失っている。夜らしい夜を演出したのが東京西麻布あたりに沢山あるダイニングバーなどの「隠れ家」である。過剰な都市の光から暗闇の素敵さに着眼し演出した訳である。隠れ家ばかりか、京都を始め寺社や名所旧跡のライトアップがさかんである。また、照明デザイナー石井幹子さんによる中心市街地ライトアップ計画なども暗闇をどう素敵に見せるかの着眼だ。
過剰さはモノや情報ばかりか、光も同様で都市は「光害」に覆い尽くされていると言っても過言ではない。夜を取り戻す、暗闇を楽しむ、といった動きが出始めている。蛍狩りやお月見といった季節歳時や、家の中を見渡すとあんどんや蝋燭といった心にやさしい光が復活し始めている。前回の和と洋の振り子ではないが、光も明るさと暗闇を振り子のように行きつ戻りつしている。

ところで聴覚であるが、実は音も合理化された音に囲まれている。最近は凋落傾向が激しい演歌であるが、日本は「こぶし」や「うねり」といった音楽感性をもった民族であった。古くは江戸時代に「虫聞き」といった風情ある遊びがはやっていたが、風鈴や鐘の音といった自然音は西欧音楽には無い世界である。実は、西欧もこうした自然音のような複雑な音階を使っていた。しかし、ピアノが大量生産されるようになり「12音階」に統一してしまった。音楽の合理化である。勿論、この合理化によって誰でもが演奏することも聞くこともできるようになった。あのマックスウエーバーが「音楽社会学」の中で「近代の音楽芸術作品は、われわれの楽譜という手段がなければ、生産することも伝承することも再生することもできない」と書いているが、合理化することによって進歩がなされてきた。そして、12音階に統一された西欧音楽が今日の私たちの音楽の基礎になっている。こうした12音階にはない、音符には表せない音楽は日本では民謡として、あるいはアフリカや中近東に今なお残っている。少し前のニュースで見た程度であるが、横浜で声明によるイベントがあり好評であったという。仏教音楽では高野山の声明(http://www.syomyo.jp/sho.html)が有名であるが、謡曲、民謡、浄瑠璃といった日本の伝統音楽は声明をそのルーツとしている。声明はまさに自然音に近く、私たちに「ゆらぎ感覚」といった心地よさを与えてくれる音楽だ。

今回は視覚と聴覚をテーマに取り上げたが、合理的な世界に埋没してしまうと、自らの感性を退化させてしまうことにつながっていくと思う。既に自然の光や音は、現状では癒しマーケットとして顕在化しているが、五感の取り戻しは日本の感性の取り戻しであり、そこに大きなマーケットが存在していると思う。つまり、感知すべき外の世界に、五風十雨と呼ばれるような湿潤で豊かな日本の風土を取り戻すことが、無感から脱皮し瑞々しい感性を取り戻すことへとつながる。例えば、田舎暮らしで自ら鍬をもって耕すことも、合理化できない自然と向き合うことである。あるいは団塊世代市場とも関連するが、ビジネスや家族といった制約から解き放たれて、少年少女になって小さな冒険探検旅行も増えるであろう。そして、誰もがあっと驚くような「五感の取り戻し」が団塊世代から生まれてくる。(続く)





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Last updated  2007.04.11 13:53:46
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