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ひよきちわーるど

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2003.05.15
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そう思う私の腕の中で 
生後2週間しか経っていない姪っ子はふぎふぎと泣き、甥っ子は私のそばで走りまわる。

いつぞやはお風呂上がりの姪っ子をバスタオルで拭いているときに、
姪っ子は何を思ったのか私の眼鏡を奪い取ったのである。


そうだった。赤ちゃんというのは、こういうとき何かをつかんでいなければ
不安でたまらないのだった。すっかり忘れていた。

湯船の中ではガーゼを掴ませていたのだけど、
体を拭いているときには何も掴ませていなかった。

おそらく彼女なりに何かを掴んでいたかったのだろうな・・・・などと、
微笑ましく笑っている場合ではない。

そう、ひよは極度の近眼なのである。
裸眼では もはや眼科検診表の1番上の字さえ見えないほどなのだ。


非常に頼りない状況の中、彼女を包む産着を探す。
あれ?さっきまでここに置いていたのに、何処行っちゃったのかなと思うひよの前で
甥っ子がその産着をマント代わりに首に巻き付け、部屋中を飛びまわっているのである。

手には お風呂上がりに妹が飲むはずのおぶうちゃん。

そして何故か彼は自分でおしめを取り外している。




・・・・いやな予感がした。

だって部屋中を見渡しても、何処にも「水たまり」がないのである。

その「水たまり」がないときた日にゃ 
あと残された選択肢は1つしかないではないか!

ああ。考えたくない、思い出したくない。




まあ 要するに その2分後。

彼は自分の足で「何か」を踏んづけ 
おまけに足の裏にその「何か」をくっつけたまま、
「とって~!」と私の方に近づいてきたのである。




・・・・冷静にこの状況を考えてみましょう。

こっちはお風呂上がり。
そして両腕の中には生後2週間の赤さま。
(子どもを育てた経験のある人ならお分かりですね、
こういうとき、私自身どういう状況下にあるか。)

おまけに眼鏡もない状態。


隣を見やれば2歳の甥っ子が何かを踏んづけてパニックになり、
首のマントも哺乳瓶も投げ捨てて泣き叫んでいるのである。

おまけに足の裏についてきたものを取り去ろうと
必死になって 畳の上で「ごしごし」と・・・・・・。

いいですか? 「ごしごし」と、ですよ。
そのあとを一体誰が掃除すると言うのでしょう。




・・・・・子どもを育て上げてこられたお母様方。

こ、ここはひとつ、
同じような状況の中を その修羅場の中を潜り抜けてきた同志として
互いの健闘を存分に讃え合おうではございませんか。



・・・そのあとも 彼はありとあらゆる事をしてくれました。
ええ、ありとあらゆる「考えられへん事」をね。


植木鉢の苔をちょっとずつちぎっては自分の耳に詰め込んでいた。
詰め込みすぎてぎゃーぎゃー泣く甥っ子を抱え、
私は何度耳鼻科に飛び込んだことでしょう。

診察中、信じられない程の量の苔が 彼の耳から出てきたとき。

先生は呆れ、
そばにいた看護婦さんは神妙な顔をしながら笑いを噛み殺していた。



普通、出るか?
耳から。 苔が。



大きめのヨーグルトを買ってきて、甥っ子に食べさせていた。
ちょっと目を離した隙に・・・・・
え・・・・・彼はそのヨーグルトを全部ひっくり返し
あまつさえそれを丁寧に畳に擦り込んでいた。

擦り込んだ広さはおよそ畳1畳分。
なんという行動の速さ。
その速さを他のことで発揮して欲しいものだ。




・・・・そして余ったヨーグルトを自分の妹の頭に乗っけていた。





甥っ子よ。
君もやがて大人になり、見目麗しき嫁を娶るであろう。

そしてその披露宴の最中、親族席にちんまりと座るであろう私の脳裏に浮かび来るのは 
凛々しき若武者の如き君の姿ではなく  

妹の産着を首に巻き付けた君の姿であり、
涙ながらに玉ねぎをかじるその幼顔であり、
そしてマジックで散々に書きまくった君のほっぺである。




初めて君を抱っこしたとき
君はなんの疑いもなく じっと私の顔を見つめていたね。

あんなに真っ直ぐに見つめられたことはなかったから 
私は少なからず驚いたのだよ。

そして 嬉しかったのだよ。

世界に
こんな可愛らしい存在が在ったのかと思った。




これから君の人生に どんなことが待っているのだろう。


絶対にそんなことがあってはいけないけれど
もしも君のお父さん、お母さんがいっぺんに亡くなるようなことがあったら
妹を連れて私の処にいらっしゃい。

君たち2人が 寒い思い、ひもじい思いをしないよう
そして何より 淋しい思いを抱えたまま生きていかなくてもいいように。




お父さんやお母さん、そして私が生きている間に
いろんな失敗を重ねていきなさい。
いろんな悲しみや辛さにぶつかりなさい。

そしてもうだめだというときには 必ず私たちが君を守っていくから。



今、もし私が急に病を得て逝ってしまったとしたならば
君は私のこと、何一つ覚えてはいないのだろうね。

私のことは覚えてなくてもいいから
ただ、自分はたくさんの愛情を受けて育ってきたのだということだけは覚えていて欲しい。

私は、君のその心の中を愛情で一杯にしてあげたかった。
愛情でお腹一杯にしてあげたかった。




どんな人生を送るにしても 
絶対に自分の可能性を捨ててはだめだよ。
自分を信じていくこと。

そして負けてはいけない。


徹して強くあれ。
そして優しくあれ。




ただただ 君が幸せであるように。







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Last updated  2007.11.09 17:22:27
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